うつ治療に「環境調整」は必須~その理由と5つのやり方~
2017/09/24
目次
薬だけでは「うつ」は治らない
こんにちは、青年A(@seinen1234)です。
うつ治療の基本として、
・抗うつ薬
(うつ治療のメインは薬物療法~抗うつ薬が効く理由~)
・休養
(うつの休養の仕方~休養は治療の1つです~)
・精神療法
(認知行動療法とは?~認知行動療法を世界一分かりやすく解説しました~)
の3つが有名です。
しかし、うつ治療に「環境調整」は必須です。
環境調整をしないと、残念ながら「うつ」は治りません。
本日は環境調整の必要性とその理由についてお話していきます。
なぜ、うつ治療に「環境調整」が必須なのか?
1.抗うつ薬では取り除けない「ストレス(精神的負担)」をなくせるから
なぜうつ治療に「環境調整」が必要なのか?
その理由は、”ストレスを減らさないとうつは治らない”からです。
人は環境から多大な影響を受ける生き物です。
ここでいう環境とは、その人をとりまく状況のことです。
例えば、職場・仕事内容・人間関係・家庭・住居のようなものです。
人は環境からとてつもない影響を受けていることに異論はないでしょう。
職場の規則で朝8時出社であるならそれに従うでしょうし、ひとり暮らしなら自炊や家事を自分ですることになります。
人はそういった環境から影響を受けているのですが、それが大きなストレスとなっている場合も少なくありません。
環境によるストレスは、環境を調整して取り除かなくてはいけません。
抗うつ薬はカラダ(脳内)の調整をしてくれますが、環境のストレスは取り払ってくれません。
(うつはこころの病気というよりカラダの病気だと思う)
合わない仕事をしていてそれがストレス(精神的負担)となっていても、そのストレスを抗うつ薬は取り除けないのです。
どうしても合わない上司にいじめられていて、それがストレス(精神的負担)となっていても、そのストレスを抗うつ薬は取り除けないのです。
だから、うつ治療に環境調整が必須なのです。
環境調整が必要なのは、抗うつ薬が取り除けないストレス(精神的負担)をなくすため、ということです。
2.治療に専念できるから(雑念を減らせるから)
うつになると「考える力」が低下します。
決断できない、考えがまとまらない、頭がぼーっとする、といった症状に悩まされます。
ですので、カラダ以外の考え事は出来るだけ少なくする必要があるのです。
例えばうつ病なのに仕事があると、ストレスが増えることになって脳の休息が取れなくなります。
結果、治りが遅くなってしまいます。
ですので、特にうつ急性期は病気の回復だけを考えられる環境調整が必要なのです。
では具体的にどんな環境調整をすればよいのか?
ひとりひとり「環境」が違うので唯一の正解はありませんが、以下を参考にしてみてください。
どんな環境調整であれ、大事なのは「ストレス(精神的負担)を減らす調整をすること」です。
【仕事】
1.休職する
シンプルですが、効果は抜群です。
うつなら休みましょう。
(うつの休養の仕方~休養は治療の1つです~)
カラダを休ませるために、仕事を休む(休職)のです。
仕事よりカラダのほうが大切です。
カラダが回復すれば、また仕事ができるようになります。
(『私のうつノート』(龍野 晋一郎)~ファイザー医学記事優秀賞!双極性障害サラリーマンに読んでほしい~)
仕事をされているなら、休職はオススメの環境調整です。
2.部署・役割を変える
例えば営業から管理部門に異動する、課長以外の働き方にしてもらう、といった配置転換でストレスを減らすという方法もあります。
このようにしてうつと付き合いながら仕事をしている人もいるようです。
しかし、僕は出来ませんでした。
僕は休職→退職という流れで環境調整をしました。
3.退職する
シンプルですが、効果は抜群です。
日本には400万社の会社があり、欲さえ出さなければ、仕事は山ほどあります。
そして日本にいる限り、飢え死にすることもないでしょう(セーフティーネットとして生活保護があります)。
(うつ病なら傷病手当金を申請しよう!~退職後でも受給できました~)
何度も恐縮ですが、カラダが最も大切なのです。
そして、うつは治る病気です。
(うつの症状の正体とは?:それは脳が生み出した「幻術」)
ストレスを抱えたまま抗うつ薬を飲んでもなかなか治らないのです。
ですから、うつによる退職というのは恥ずかしいことではありません。
怠けで辞めるわけではないのですから。
【家庭】
1.家事を減らす
女性の場合に当てはまることが多いと思います。
日々の家事…本当にご苦労様です。
母を見てていつも思っていましたが、家事ってやりだしたらキリがないですよね。
ほんとに女性のパワーはスゴイです。
女性が長生きなのも納得です^_^;
しかし、うつ病なら家事を減らすことでストレスも減らせます。
ご家族に理解をしていただいて少しでも精神的負担が減らせるようにしていきましょう。
(アサーショントレーニング④~「私メッセージ」を使って自分の気持ちを分かってもらおう~)
【住居】
1.実家に戻る
実家に戻ることで、寂しさや不安が減らせることがあります。
ぼくは東京から大阪の実家に戻ったことで、とっても気が楽になりました。
(自然から遠ざかるほど、病気に近づく)
ただでさえうつ症状で苦しんでいるのに、ひとりだと動けないし寂しいし‥
あのまま一人暮らしを続けていたら、僕は本当に壊れていたと思います。
(「うつの自殺は絶対あかん」~してはいけない4つの理由~)
もちろん、すべての人に「絶対すべきだ!」と言うわけではありません。
最初にお伝えしたように「環境」は人それぞれだからです。
しかし地元の空気を吸い、慣れ親しんだ実家に帰ることで心が落ち着く人も多いと思います。
実家に戻ることで経済的な負担も減らせるかもしれません。
「環境調整」がうつ病をやっつける基本なんです
すべてのうつ治療の基本は「環境調整」です。
これなくしてうつ治療の成功はありません。
土台がしっかりしていないと、上の積み木が倒れてしまうのと似ています。
骨折をすれば、ギプスをつけて固定できる環境にします。
それと同じです。
まずはリラックスできる環境を整えること、治療に専念できる環境を整えることが何より大事というわけです。
おわりに:僕は新しい環境に適応できなかった
詳細は「【闘病記】うつ病と顎関節症」に記載していますが、僕は社会人1年目にうつを再発しました。
23歳の7月頃です。
慣れない東京での一人暮らし、厳しい営業の仕事といった環境の変化に適応できなかったのです。
必死で仕事を覚えようとしました。
常に神経を張り巡らせ、緊張感を漂わせて生きていました。
成果が少しだけ出た時期もありました。
しかし、”知らない間に”ストレスが蓄積していたのです。
ある夜、発作がしました。
胸騒ぎが止まらないのです。
パニックです。
汗が止まりません。
このまま死んでしまうんじゃないか、という不安が頭をよぎりました。
いや、そんな余裕すらなかったかもしれません。
ベッドに倒れこんで目をつむりました。
気づくと朝でした。
意識がもうろうとする中、会社に行きました。
仕事をしました。
帰宅して完全に神経の糸が切れた感覚を覚えました。
「もう無理だ…」と。
それでもすぐには休職できませんでした。
新社会人でがんばろうと意気込んでいた矢先のことだったので、「休む」という選択肢が思いつかなかったのです。
「ほんとかよ?」と思うかもしれませんが、当時は本当でした。
視野が狭くなって頭が働かないし、仕事を休むなんてありえないと思いこんでいたのかもしれません。
その後上司に相談し、休職して退職という流れになったのです。
地獄をみました。
(『仕事休んでうつ地獄に行ってきた』(丸岡いずみ):日テレキャスターの壮絶うつ闘病記)
もっと早く休んでよかったのです。
限界まで追い詰めなくて良かったのです。
もっと肩の力を抜いてよかったのです。
発作が起き、胸騒ぎが止まらなくなったあの夜からすぐに抗うつ薬を飲みはじめていました。
しかし、そんなのでは治らないのです。
抗うつ薬が効かないといってるわけではありません。
抗うつ薬は大切です。
(うつ治療のメインは薬物療法~抗うつ薬が効く理由~)
しかし冒頭でも述べたように、抗うつ薬は環境のストレスまで取り除いてはくれないのです。
だから環境調整が必要なんです。
うつを倒すために。
僕の文章力でどこまで伝わったか分かりませんが、うつ治療に環境調整は必須です。
このことは頭に置いていただければと思います。
本日もありがとうございました。
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