身体醜形障害と治療法~僕は鏡にうつる自分に絶望していました~
2017/09/21
目次
身体醜形障害の原因はうつ病かもしれない
こんにちは、青年A(@seinen1234)です。
今回は「身体醜形障害」についての記事です。
早速ですが、こんな症状に悩んでいませんか?
・自分の顔を見て冷や汗と絶望感にさいなまれる
・自分の体臭が気になって外に出られない
・髪の毛の硬さ、薄さに敏感になってしまう
・ちょっとした口臭が気になって、歯が痛むくらい歯磨きしてしまう
こういった症状は、もしかすると「身体醜形障害」かもしれません。
身体醜形障害とは何か?
まずはそのあたりからご説明させていただきます。
身体醜形障害とは?
健康なコンプレックスと異常なコンプレックスの違い
身体醜形障害を一言でいうと、”自分の見た目に異常なコンプレックスを感じてふさぎ込んでしまう病気”です。
ポイントは「異常な」コンプレックスという点です。
誰でも容姿にコンプレックスはあるものです。
(思春期は特にです)
あれほど美しい女優さんでも整形するほどです。
なので、容姿に対するコンプレックスは誰にでもあります。
でも、健康な人はそのコンプレックスを四六時中考えているわけではありません。
しかし身体醜形障害の人は、そのコンプレックスをず~っと考えてしまうのです。
例えば、こんなことがあります。
鏡やガラスに自分の顔がうつるだけで恐怖を感じてしまいます。
自分が思っているより自分の顔が醜く見えることを怖れるからです。
反射物に写る自分を見て醜く感じると、冷や汗が出て血の気が引いていきます。
(アポがあっても、落ち込みすぎてキャンセルしてしまうこともあります)
逆に思ってたよりかっこよく見えた場合は、その反射物を何時間も見てしまうこともあります。
(そんなに悪くないと思いたい自分もいるからです)
健康でコンプレックスのある人は、鏡を見て冷や汗をかいたり、鏡を何時間も見続けたりはしないでしょう。
しかし、身体醜形障害の人は、それを続けてしまいます。
そして、自分でも異常だと分かっているのにやめられないのです。
生活に支障が出るほど気分が落ち込み、苦痛を感じてしまうのがこの病気の特徴なのです。
<身体醜形障害:ポイント1>
異常なほどカラダにコンプレックスを感じて生活に支障がでるほど苦痛を感じている
整形しても治らない
身体醜形障害の人が、美容整形するケースは少なくありません。
しかし、整形で身体醜形障害は解決しません。
医学的な「病気」を美容整形で治すことはできないからです。
例えば、鼻にコンプレックスがあったとします。
美容整形で鼻を高くしても、次は目が気になったりします。
目を美容整形します。
次は顔の輪郭が気になりだします。
それを続けると、生まれ持った顔のバランスが崩れて「人」ではなくなってしまうでしょう。
マイケルジャクソンさんが、この身体醜形障害であったといわれています。
最終的に肌の色まで変えて、生身の人間ではないような姿になられました。
(心が痛みます)
つまり、カラダにコンプレックスを抱き続けてしまう病気なので、整形しても、次から次へと不満が溢れてしまうのです。
<身体醜形障害:ポイント2>
整形しても解決しない
診断は専門医に任せる
自分は病気じゃないと判断せずに、診断は専門医に任せましょう。
心療内科・心療内科がその診断をしてくれます。
保険適用ですし、病院に行って問題なければそれでいいですし、あれば治療に進めます。
(うつ病の病院選びにお困りの方へ:うつ経験者が選び方を教えます!)
この病気の難しいところが、本人に病気という認識(病識)がないことなんです。
(僕もそうでした)
なので、もうそれ以上苦しまないでほしいのです。
<身体醜形障害:ポイント3>
まずは病院へ
身体醜形障害の原因はなにか?
身体醜形障害の原因は1つではありませんが、「うつ病」の可能性は高いです。
(うつはこころの病気というよりカラダの病気だと思う)
後から説明しますが、身体醜形障害の治療法がうつ病とほぼ同じ点からも想像がつきます。
つまり、うつ病を治療すれば、身体醜形障害も治療されることになります。
分かりやすくいうと、うつ治療をすれば、カラダの異常なこだわりがなくなっていく、ということです。
ここは非常に重要なポイントです。
身体醜形障害の人口有病率は、1%ほどと言われていますが、病院を受診していない方がほとんどです。
受診していないのは、患者自身がその症状を「病気」と認識していないからです。
僕もすぐには認識できませんでした。
しかし、身体醜形障害は病気であり、治療が可能な疾患なんです。
<身体醜形障害:ポイント4>
病気と認識し、治療で回復できる病気だと理解する
身体醜形障害の治療法
身体醜形障害の治療はうつ病の治療とほぼ同じなので、詳細は「うつ治療まとめ」をご覧ください。
ここではその一部をご紹介します。
→うつ病・身体醜形障害は、脳内の何らかの異常が原因です。
(「躁うつ病に挑む」(加藤 忠史)~うつの原因は脳由来神経栄養因子(BDNF)?~)
なので、脳内を調整するお薬が有効です。
脳内を調整するだけなので、何も怖いことはありません。
治療しないほうが怖いです。
僕も薬物療法のおかげで回復しました。
恐れず、最寄りの心療内科・精神科を受診しましょう。
(左診療所~親切親身になってくださった精神科・心療内科~)
・認知行動療法とは?~認知行動療法を世界一分かりやすく解説しました~
→認知行動療法も大切です。物事の捉え方を学ぶのです。
コンプレックスをもっていても、極端にならない人もいます。
その方々はどうやってコンプレックスとつき合っているんでしょうか?
うまく心のバランスを取って生活をしているのです。
身体醜形障害になってしまう人は、いい意味でもわるい意味でも”こだわりが強い”方が多いようです。
こだわりが強いことを否定しません。
趣味、仕事など、いい面に働くこともほんっとに多いからです。
今回、たまたま身体醜形障害を患ってしまったので、この機会に”柔軟でバランスの取れた考え方”を学ぶのもよいでしょう。
人間的に成長できるチャンスでもあります。
<身体醜形障害:ポイント5>
ココロ(考え方)とカラダ(脳内)の両方を整えて治療していく
身体醜形障害を克服するための心構え
いわゆる心の病を克服するには、カラダの治療だけでなく、考え方や心構えを変えることも大切です。
(うつの人にかける言葉~人間万事塞翁が馬~)
カラダの治療をしても、思考が同じなら再発してしまう可能性も高まります。
そうならないために、僕が学んだ「打倒!身体醜形障害」の心構えをご紹介します。
1.カラダの一部に執着してしまうのは病気の症状である
風邪を引けば、熱が出たり、鼻水が出たり、悪寒がしたりするでしょう。
それは風邪の症状だからです。
身体醜形障害も同じです。
うつ病などの原因があって、カラダにこだわってしまう症状が出ているんです。
あなたがおかしいのではなく、あくまで症状が出ているということです。
ですので、原因の治療が進めば、その執着心から解放されていきます。
2.治る病気である
カラダの治療とバランスのとれた考え方をしていけば、この病気は克服できます。
(『身体醜形障害』(鍋田恭孝)~醜形恐怖が1番分かりやすい本~)
心の病はすぐには治りません。
マラソンのように長い時間がかかります。
だから焦ってはいけません。
じっくりと治していく気持ちが大切です。
3.周りの目を気にしない
なかなか難しいことかもしれませんが、周りの目を意識しすぎないようにしましょう。
身体醜形障害の時は、他人と顔を合わせるだけで、
「自分の顔が不細工と思われているんじゃないか」
「バカにされてるんじゃないか」
と思いがちです。
意識しなくても、自然にそう思ってしまうものです。
ある意味仕方ありません…そういう病気だからです。
(うつ病で意味もなくイライラしてしまう…。その原因と5つの対処法)
しかし、そのことで落ち込んだりする必要はありません。
あくまで自然にそう思ってしまう症状が出ているだけであって、相手の心の中は誰も読めません。
想像・妄想でしかないのです。
(情報のウソ、ホント。見極める力~意見と事実の違い~)
相手の心の中を100%当てられたら、天才でしょう。
しかし、誰もそんなことは出来ません。
治療に集中し、症状に意識を向けないことが大切です。
おわりに:もう元には戻れないと思っていた
「【まとめ】ぼくの鬱病の症状~こんな症状に苦しんでいました~」にも記載しましたが、浪人生の頃に身体醜形障害を発症しました。
17,18歳頃です。
目の蒙古ひだといわれる部分が極端に長く感じて目が小さく見えたのです。
(画像引用元:品川美容外科様)
ある日、そのことにこだわりまくっている自分に気づきました。
寝ても覚めてもそのことばかり考えてしまい、浪人生なのに勉強が手につきませんでした。
勉強しないといけないことは分かっているのに出来ないんです。
頭の中が目のことでいっぱいいっぱいになって。
そんな自分がイヤでイヤでたまりませんでした。
手術も考えましたが、お金がありませんでした。
今振り返っても苦しい日々でした。
よく命を絶たなかったと思います。
(『自殺って言えなかった。』(あしなが育英会):遺された遺族の想像を絶する苦しみ)
目のほかに鼻も気になりだしました。
鼻が低いことです。
小さい頃、友達に鼻をからかわれたりしたトラウマが蘇った感覚です。
目と鼻に執着してしまって、人と顔を合わせることが出来なくなってしまいました。
ブサイクと思わるのが怖かったからです。
その後、浪人生活が終わりそうな頃、たまたまウィキペディアで「身体醜形障害」という病気をみつけました。
見つけた時、涙が止まりませんでした。
僕の異常は、自分がおかしいんじゃなくて「病気」だったんだ、と。
人は病名が分かるとホッとする一面があると、その時知りました。
そして大学に入学し、うつ治療を始めることで、この病気とおさらばすることが出来たのです。
(わかりやすい!うつ病の「完治」と「寛解」の違い)
だから、身体醜形障害に悩まれている方にお伝えしたいのは、「治療を始める」ということです。
そして、長い目でこの病気と付き合う心構えが必要だということです。
こんな絶望的な僕でも克服できたのですから。
あなたも大丈夫です。
一歩前に踏み出しましょう。
僕が見守っています。
本日もありがとうございました。
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