日本うつ病学会が光トポグラフィー検査について異例のコメント│検査結果に惑わされないで!
2017/10/05
目次
うつかどうかを数値で知りたい気持ちは、よく分かる
こんにちは、青年A(@seinen1234)です。
以前「光トポグラフィー検査(NIRS)とは?:オススメできない7つの理由と精神疾患の検査法」という記事を書きましたが、今回、日本うつ病学会が光トポグラフィー検査について異例のコメントを発表しました。
(双極性障害およびうつ病の診断における光トポグラフィー検査の意義についての声明)
内容をまとめます。
・光トポは判断材料の1つにすぎず、適切な臨床評価に基づいて判断すべきである。
・光トポグラフィー検査の結果のみに基づいて診断を行うことは、医療の原則に反する。
なぜ、日本うつ病学会が声明を出したのか…
そのあたりからお話していきたいと思います。
本日もよろしくお願い致します。
光トポの検査結果に洗脳される患者が多い
うつ病とは不思議な病気です。
まだ目に見えないからです。
例えば、骨折であればレントゲンを撮れば折れているかどうかが分かります。
がんであれば、CTやMRIで腫瘍が確認できます。
しかし、うつ病はそれが(現在)出来ません。
なので、患者の声を聞き、ICD-10やDSM-5等のガイドラインに従って診断・治療するしか今は方法はないのです。
(大うつ病性障害・双極性障害治療ガイドライン~”うつ”のすべてがここにある~)
そして、うつ病は健康な人の感情・身体不調の延長線上にあります。
・気分が憂鬱だ
・一日中疲れている
・何をしても気分が晴れない…
など、健康な人でもこういった心と体の不調は訪れます。
うつと健康な人との違いは、それらの不調がずっと続くかどうかです。
健康な人は一定期間が過ぎればそれらの症状は消えて元の状態に戻ります。
しかしうつ病になってしまった人は、原則治療をしないと元の状態に戻りません。
この点が違いであり、うつ病が病気たるゆえんだと僕は思います。
(うつはこころの病気というよりカラダの病気だと思う)
しかし、うつ症状が健康な人が体験する症状の延長線上にあるため患者自身が、
「少し休めば治る」
「自分は甘えてるだけじゃないのか」
(うつが甘えじゃない理由:思い込みにとらわれてはいけない)
と病識(自分が病気であるという自覚)がないことが少なくありません。
また、ドクターから精神疾患ですと言われても、数値で表せないため、信じることが出来ず、内科や外科を転々とするドクターショッピングをしてしまう人もいます。
(ドクターショッピングの日々~歯医者を中心に~)
うつ患者は、自分がうつ病かどうかをはっきり知りたいのです。
そのために客観的な検査を求めています。
うつだとはっきり分かればうつ治療へ迷いなく進めますし、違えば他の治療を検討できます。
そういったうつ患者の心理を狙った装置が「光トポグラフィー」なのです。
光トポグラフィーを精神疾患で使ってるのは日本ぐらい
精神疾患の鑑別精度が低いにも関わらず、こんな装置を使っているのは日本ぐらいだと精神科医から聞いたことがあります。
アメリカのうつ病学会も「わけわからない診断をすな!」とコメントを出しています。
そういったことを患者は知りません。
分からないのは当然です。
うつ病の客観的な検査はできるようになった!とメディアがあおるため、光トポグラフィー検査の認知度が上がり、大勢のうつ患者が光トポグラフィー検査を受けるようになったのです。
実は僕も光トポグラフィー検査を受けていた
なぜここまで光トポグラフィー検査を否定するのか…
それは僕自身が受けたことがあるからです。
「光トポグラフィー検査(NIRS)とは?:オススメできない7つの理由と精神疾患の検査法」で詳しい診断手順を書いていますが、ウソくさいものです。
もっとも、当時はうつ病のどん底にいた時で、藁にもすがる思いで受診しました。
光トポグラフィー検査後、「うつ磁気刺激治療(TMS)」をすすめられました。
高額でお金がなかったし、親に怪しいからやめなさいと言われて踏みとどまることが出来たのです。
今思うと治療まで受けなくて本当に良かった。
ネット上には光トポグラフィー検査を勧める医院のサイトがあったりしますが、僕はオススメしません。
受診して多くのうつ患者が失敗しているからです。
だから今回、日本うつ病学会が動いたのです。
検査機器自体高いものではありません。
1台1000万円くらいと聞きました。
検査に2,3万円取るところが多く、十分回収できる金額です。
客観的診断を求める気持ちは重々分かるのですが、
今はないのです。
しかし、治せない病気ではありません。
だまされてはいけません。
論文が書けたり、儲かったりするから導入している医院も多いのですから。
(うつ診断に光トポ検査は役立つか?(上):検査結果を鵜呑みにしてはいけない)
うつ診断は専門医にゆだねましょう
きちんとした治療をしている医院は光トポグラフィーなんてやらないでしょう。
診断・治療は専門医にお任せしましょう。
(うつ病の病院選びにお困りの方へ:うつ経験者が選び方を教えます!)
(人として)信頼できる先生が見つかったら、その先生に委ねましょう。
自分で勝手に薬の量を調整したりしてはいけません。
患者にできることは運動や環境調整、心理療法です。
・うつ病の運動療法~うつの人に運動を強くオススメする4つの理由~
・認知行動療法とは?~認知行動療法を世界一分かりやすく解説しました~
・アサーションを知ろう~I’m OK, You’re OK!な表現技法~
全てのうつ治療はこちらをご覧ください。
(うつ治療まとめ)
おわりに
うつの原因が分からず、悩んでいる人は多いと思います。
僕も悩んでいました。
うつ病の真の原因はまだ分かっていないのです。
現在は、セロトニンやノルアドレナリンといった神経伝達物質の増減が原因といった仮説のもと、抗うつ薬が開発されています。
しかし、それらを服用しても効果がすぐに出るわけではないことはうつ患者が一番よく知っています。
原因はBDNFじゃないかと言われたりしますが、まだはっきりとしたことは分かっていません。
(「躁うつ病に挑む」(加藤 忠史)~うつの原因は脳由来神経栄養因子(BDNF)?~)
CTやMRIで異常が分からないことから、脳の形態異常ではなく、機能異常であることは分かっています。
つまり脳に傷がいったり、壊れたりしているのではなく、神経伝達物質か何かのやり取り等の異常だということです。
脳内の何らかの異常であることは確かなのですが、はっきりしないことに歯がゆさを感じます。
それが分かれば、すぐに治る治療薬が開発されそうなのですが…
今できることは、心を平らかにして、治療に専念するということです。
治療が始まれば、体のことばかり考えるのではなく、趣味や運動など、外の事に意識を向けましょう。
内側のことばかり考えても不安になったりネガティブになったりするだけです。
僕はひどいうつ病体験からそのように思いました。
(うつ病体験記)
ご参考になれば幸いです。
本日もありがとうございました。