新型うつ病‥そんな病気、存在しません!
2017/10/07
目次
「新型うつ」はマスコミがつくりだした用語
こんにちは、青年A(@seinen1234)です。
近年、「新型うつ」が注目されていますね。
マスコミに多数出演している精神科医「香山リカ」さんが言いだしたと言われています。
しかしこの「新型うつ病」は‥存在しません!
病気として認められていないし、医学用語でもありません。
いわゆる典型的なうつ病に当てはまらないものを、マスコミが「新型うつ」としてまとめているだけなのです。
「新型うつ」は存在しません。
(「新型うつを知る本 (福西勇夫)」~新型うつ病を世界一分かりやすく解説した本~)
しかし新型うつ病のような症状は確かに存在します。
結論から言いますと、新型うつのような症状は、次の3つのうちのどれかです。
1、非定型うつ病
2、その他の疾患
3、仮病(けびょう)
そして新型うつ病の多くは、非定型うつ病のことを指すのです。
また新型うつのような症状をうつ病ではないと誤解されてしまうのは「症状」と「病前性格」が違うからなのです。
まずは「新型うつと症状について」というところから説明していきたいと思います。
「新型うつと症状について」
新型うつとは?
「新型うつ」とは、典型的なうつ病に当てはまらないうつ病のことを指します。
(医学用語ではないので、きちんとした定義はありません)
マスコミを中心に「新型うつ」には、次の5つの症状があるといわれています。
「新型うつ」の5つの症状
1、好きなことや楽しいことがあるとうつが消える(気分反応性)
2、甘いものを中心に食べ過ぎが目立つ(過食)
3、1日に10時間以上眠ってしまう(過眠)
4、ささいなことで異常に傷つき落ち込んでしまう(拒絶過敏性)
5、起きあがれないほど体が重く感じられる(鉛様麻痺)
特に1、の「気分反応性」は誤解のもとです。
“しんどい”といって会社を休むのに、休日は旅行へ行って楽しんでいるのをみた会社や周りの人が、「あれはほんとにうつ病なのか?」と疑ってしまうのです。
疑ってしまうのも無理はありません。
典型的なうつ病は浸透してきましたが、新型うつ病のような症状はまだ浸透していないからです。
典型的なうつ病の症状は次のようなものでしょう。
・何もしても楽しめない(無関心)
・何も食べたいと思わない(食欲不振)
・なかなか寝付けず、すぐに起きてしまう(不眠)
・自分は価値がない存在と思う(罪責感)
・この世から消えてしまいたいと思う(自殺念慮)
この典型的なうつ病の症状ばかりが強調されているので、新型うつ病のような症状は”うつ病ではない”と考えてしまうのです。
つまり、典型的なうつ病を「従来のうつ病」としたときに、今まで知られていなかった症状を「新型うつ病」とされたというわけです。
まず、この新型うつのような症状と典型的なうつ病の症状が異なる点が誤解の1つ目となります。
(ⅰ)誤解の1つ目~「症状」が異なるから~
(引用元:医療法人和楽会さま)
“新型うつ”と”従来型うつ”の病前性格の違い
新型うつと従来型うつの病前性格には違いがあるといわれています。
病前性格とは、病気になる前の性格傾向のことです。
新型うつの病前性格
代表的な性格は次のようなものです。
・自己中心的
・責任を相手のせいにする
・自己愛が強い
・気分の浮き沈みが激しい
従来型うつの病前性格
・几帳面でまじめ
・勤勉で責任感が強い
・凝り性
・誠実
このような新型うつと従来型うつの病前性格が異なる点が誤解の2つ目となります。
(Ⅱ)誤解の2つ目~「病前性格」が異なるから~
「新型うつ」の原因はなんなのか?
何度も恐縮ですが、新型うつという病気はありません。
なので、新型うつの原因もありません。
しかし新型うつのような症状は存在します。
ここでは、最初に述べた新型うつの症状と考えられる病気で分類していきます。
1、非定型うつ病
非定型うつ病はうつ病の分類の1つです。
(「非定型うつ病 パニック症・社交不安症(貝谷久宣)」~非定型うつの”すべて”がここにある~)
ですので、うつ病です。
ただ、従来型のうつ病とは違った症状と病前性格が特徴的です。
<症状>
1、好きなことや楽しいことがあるとうつが消える(気分反応性)
2、甘いものを中心に食べ過ぎが目立つ(過食)
3、1日に10時間以上眠ってしまう(過眠)
4、ささいなことで異常に傷つき落ち込んでしまう(拒絶過敏性)
5、起きあがれないほど体が重く感じられる(鉛様麻痺)
<病前性格>
・自己中心的
・責任を相手のせいにする
・自己愛が強い
・気分の浮き沈みが激しい
まさに、新型うつ病と同じ症状、病前性格なのです。
なので、新型うつ病の正体が非定型うつ病(要するにうつ病の1つ)だというわけです。
2、その他の疾患
その他の疾患の可能性もあります。
双極性障害(躁うつ病)やがん、糖尿病などでも似た症状が出ることもありますので、適宜身体検査が必要な場合もあります。
3、仮病(けびょう)
うそはいけません。
しかし現在の精神疾患の鑑定では、数値で検査できる検査法がないのが現実です。
問診を通してしか判断できないため、悪意のある仮病の可能性もないとはいけません。
つまり、その他の疾患、仮病でない限り、新型うつ病は非定型うつ病である可能性が高いのです。
そして非定型うつ病がうつ病の一種であることから、原因は「脳内の何らかの異常」となるのです。
(参考:うつはこころの病気というよりカラダの病気だと思う)
そして、非定型うつ病の治療法は次のようになります。
・「問題解決療法」~認知行動療法の1つ!本当に感動した問題解決の方法!~
非定型うつ病かどうかのチェック法
最も権威ある診断基準「DSM-5」の診断基準を掲載します。
まずうつ病かどうかのチェック
・抑うつ気分
・興味または喜びの著しい低下
・食欲の増加または減少、体重の増加または減少
(1か月で体重の5%以上の変化)・不眠または過眠
・強い焦燥感または運動の静止
・疲労感または気力が低下する
・無価値感、または過剰・不適切な罪責感
・思考力や集中力が低下する
・死について繰り返し考える、自殺を計画するなどこれらの5つ以上が2週間のあいだほとんど毎日存在し、またそれによって社会的・職業的に障害を引き起こしている場合、うつ病と診断される
・抑うつ気分(気分の落ち込み)
・興味と喜びの低下(以前のように興味を持ったり喜んだりする事が出来ない)のどちらか1つは必ず満たし、残り4つ以上を満たす場合がうつ病となります。
非定型うつ病の診断基準
A.気分の反応性
(すなわち、現実のまたは可能性のある楽しい出来事に反応して気分が明るくなる)B.以下のうち2つ
(1)有意の体重増加または食欲増加
(2)過眠
(3)鉛様の麻痺(すなわち、手や足の重い、鉛のような感覚)
(4)長期間に渡り対人関係上の拒絶に敏感で、意味のある社会的または職業的障害を引き起こしている
C.同一エピソードの間に、「メランコリアの特徴を伴う」または「緊張病を伴う」の基準を満たさない
気分の反応性を満たし、これら(1)~(4)項目のうち、2つ以上を満たす場合、非定型うつ病に診断基準上は当てはまることとなります。
おわりに
今回の記事でお伝えしたかったことは大きく2つです。
1.新型うつ病なんて病気は存在しない
2.新型うつのような症状は「うつ病」でも起こりうる
新型うつのような症状で苦しんでいる患者さんはおられます。
仕事のある日は体調が悪いのに、休日になると遊べたりする。
しかし、体が異常に重い、気分のむらが激しい、など明らかな精神・身体症状に悩まされているのです。
遊べる日もあるのだからといって、患者さんを責めたり理解しなかったりしないでほしいのです。
それは誤解なのです。
仮病は論外ですが、うつ病の症状として新型うつのような症状が出ることがあるのです。
新型うつなんて医学用語はありませんが、うつの症状として、
1、好きなことや楽しいことがあるとうつが消える(気分反応性)
2、甘いものを中心に食べ過ぎが目立つ(過食)
3、1日に10時間以上眠ってしまう(過眠)
4、ささいなことで異常に傷つき落ち込んでしまう(拒絶過敏性)
5、起きあがれないほど体が重く感じられる(鉛様麻痺)
がでることはあるのです。
うつ病の症状は、人によってほんとにバラバラです。
個人の脳内の乱れ、自律神経の乱れ方によって、症状の出方にも個人差があるのです。
(参考:自律神経失調症は「症状」であって「病名」ではない。~真の原因は何か~)
世間一般でいわれている症状ではないからと言って、病気ではないと決めつけないでください。
患者さんもそうです。
もし病気なら、治療に進むことができるのですから。
新型うつという病気はありませんが、新型うつのような症状は存在します。
そしてその症状を「気のせい」などとせず、きちんとした医学的治療を受けてほしいというのが僕の願いです。
1人でも苦しむ人が少なくなることを願って…
本日もありがとうございました。
<まとめ>
・新型うつ病という医学用語はない
・新型うつのような症状は存在し、それはうつ病の可能性がある
・患者のつらさを理解してあげる必要がある
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