家族はうつ病患者にどのように接すればいいか?:4つの対応とうつ患者の気持ち
2017/10/11
目次
家族はうつ患者に「やすらぎ」を与えてやってほしい
こんにちは、青年A(@seinen1234)です。
今回は「家族がうつ患者にどのように接すればよいか」をお話したいと思います。
うつ病はある意味、特殊な病気です。
うつ症状は、うつにならないと分かりません。
風邪だと誰でも一度は経験したことがあるので、症状に共感できますが、うつは経験がないと症状の苦しさが他人には分からないのです。
そのため、うつを経験したことのない人が、うつ患者に「やる気がないからだ」「甘えだ」と言ってしまったりします。
(うつが甘えじゃない理由:思い込みにとらわれてはいけない)
そして、家族にさえ理解されず、ひとりで心身共に苦しんでいる人が少なくありません。
今日は、うつを克服するために、ご家族の方に知っておいてほしいことをご紹介していきたいと思います。
うつ患者が家族に求めているたったひとつのこと
うつ患者が家族に求めていること…
それは「やすらぎ」です。
安心して、リラックスして過ごせる環境を求めているんです。
(うつ治療に「環境調整」は必須~その理由と5つのやり方~)
うつ患者は今までがんばりすぎて、心身のエネルギーが空っぽの状態です。
神経をビンビン張り巡らせて、生活・仕事をしてきた反動が起こっています。
ですのでゆ~っくりと休んでエネルギーをためる居場所を求めているんです。
肩の力を抜いてリラックスして過ごせる空間を求めています。
それが「家族・家庭」ということです。
”安らぎ”を求めているのは、何もうつ患者だけではないでしょう。
働いているお父さんだって同じはずです。
取引先に怒られ、上司に無理難題を言われ、それでも家族のために仕事をします。
そんな戦いを終えた後、帰宅して求めているのは、奥さんの「おかえりなさい」の一言かもしれません。
ゆっくりお風呂に入って疲れを癒して、ビールを飲みながら阪神の試合を観る時間かもしれません。
つまり、そこに求めているのは「やすらぎ」であって「癒し」なんです。
うつの人との接し方
うつの人が安らぎを求めていることはお分かりいただけたかと思います。
では、具体的にどのように接していけばよいのかをお話させていただきます。
1.普通に接する
これが大前提です。
今まで通り、普通に接しましょう。
朝起きたら「おはよう」と声をかけたり、楽しかったことを話し合ったり、一緒に食事をしたり…
今まで通り、普通に接してくれるのが一番ありがたいです。
うつだからといって、腫れ物に触れるような、おそるおそるの対応をされると落ち込みます。
「自分が生きてることで家族に迷惑をかけている」
(「うつの自殺は絶対あかん」~してはいけない4つの理由~)
「自分はおかしな人間なんだ」
「自分は誰からも愛されていないんだ」
(アサーショントレーニング②~ABC理論(アルバート・エリス)を知って感情をコントロールしよう!~)
と考えて、自分を責めてしまいます。
そうではなく、今まで通りの対応をしてくれることをうつ患者は願っています。
2.でも、普通すぎても困る
普通すぎても、というのは相手を思いやる態度がない場合です。
例えば兄弟同士であれば、ちょっとしたことで相手の欠点を指摘してしまったり、雑に頼み事をしてしまったりすることがあるでしょう。
勉強していない弟に対して「もっと勉強したら?」と言うことだってあるでしょう。
しかし、うつ患者にそれは危険です。
うつ患者は神経が過敏な状態です。
そんな時に、「そろそろ仕事したら?」とか「あんたの考え方が悪いのよ」とか言ってしまうと、デキない自分に絶望してしまうんです。
言った本人は何気ない一言だったかもしれませんが、うつ患者はとっても深刻にとらえてしまうんです。
この機会に患者も家族も、お互いを思いやるコミュニケーションを学ぶのもよいかもしれません。
お互いが人間的に成長できるからです。
(アサーションを知ろう~I’m OK, You’re OK!な表現技法~)
うつ病はココロとカラダに耐えがたい苦痛を与える「病気」です。
(うつの症状の正体とは?:それは脳が生み出した「幻術」)
家族のあなたが思ってるよりも苦しい病気です。
症状の苦しさから自殺してしまう人が後を絶たないほどです。
(『自殺って言えなかった。』(あしなが育英会):遺された遺族の想像を絶する苦しみ)
そういう苦しい病気と闘っている家族をどうか思いやってサポートしてあげる気持ちが大切なんです。
3.アドバイスはしない
状況にもよると思いますが、基本的な考え方として、うつ患者にアドバイスをする必要はありません。
先ほど書きましたが、家族に求めているのは「やすらぎ」です。
「あんまり寝すぎてはいけないよ」とか「そろそろ散歩でもしたら?」といったアドバイスをしたくなるのは分かりますが、そこはぐっと我慢しましょう。
したくなったら勝手にやります。
うつ患者とは”つかず離れず”の距離感が大切です。
4.プレッシャーを与えない←これほんとに重要
うつ患者に絶対プレッシャーを与えてはいけません。
よくうつ患者を”励ましてはいけない”と言いますが、それはプレッシャーを与えないためなんです。
「もっと頑張って」
「そろそろ仕事を探したら?」
と言われることで、
「頑張りたいのに頑張れない自分は最悪だ」
「俺だって仕事ができるんならしたい。でもできなんだ。このカラダじゃ。どうして分かってくれないんだ」
(うつはこころの病気というよりカラダの病気だと思う)
と深く傷つき、自信をなくしてしまいます。
そして、家族・家庭の居心地が悪くなってしまうんです。
そうなったら、治る病気も治らなくなってしまいます。
骨折の人に走りなさいとは言わないでしょう。
がん末期の患者に働きなさいとは言わないでしょう。
それと同じです。
うつ患者にパワーがみなぎってくれば、自然に行動するようになります。
家族に求められているのは、その時をじっくりと待つことです。
長期的な視野で、うつ患者を見守ってほしいと思います。
おわりに:家の居心地が悪い時があった
詳細は「【闘病記】うつ病と顎関節症」に書いていますが、僕は7年以上、うつで苦しみました。
(うつ症状はいつのまにか改善されている:その理由と改善方法)
高校3年生からです。
一番ひどかったのは、新社会人として東京で働いていた頃です。
その後すぐ自宅(大阪)に戻ることになりました。
うつが再発したためです。
家族はうつ病に理解を示してくれました。
しかし、時には家族の何気ない一言に傷ついたのです。
「いつ働きだすんだ?」
「症状と付き合いながら仕事はできないのか?」
と父に言われたことがあります。
母は、僕がうつ病だと親戚に言えないらしく、うやむやにごまかしている姿をみて落ち込んだこともありました。
刃物で心臓をえぐられるような痛みです。
僕はうつを経験したからこそ、うつ患者、うつを支えるご家族に伝えることができます。
(うつの人にかける言葉~人間万事塞翁が馬~)
それが今まで書いた内容です。
”相手を思いやる心”が大切です。
病気の時は、特にそうでしょう。
なりたくてなったわけじゃないんです。
うつの人は真面目な人が多いんで、がんばりすぎて病気になったんです。
そのことをご家族に分かっていただけたらな~って思います。
うつが明けた時、うつ本人もご家族も、人として一皮むけたなと思う瞬間がきっと訪れるでしょう。
自分も相手も大切にしながらうつ患者を支えていただければ幸いです。
本日もありがとうございました。
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