噛み合わせ治療にマウスピースを使うのはもうやめよう
2017/09/22
目次
噛み合わせをマウスピースで調整しても治らない
こんにちは、青年A(@seinen1234)です。
この記事を読んでくださっている方は、次の経験をされたかもしれません。
・噛み合わせが悪いと全身に悪影響が出ると聞いてマウスピース治療をしている(しかし治らない)
・噛み合わせが悪いと全身に悪影響が出ると聞いて歯を削る治療をしている(しかし治らない)
・顎ズレは全身に悪影響が出ると聞いて恐れている
・顎関節症を治療するにはマウスピース治療しかないと思っている
・顎関節症の原因は歯の噛み合わせの悪さにあると思っている
・マウスピース治療、咬合治療(歯を削る治療)が自費治療でお金がかかりすぎて消耗している
こんな経験をされている方…以前のぼくと全く同じです。
詳細はぼくの闘病記【闘病記】うつ病と顎関節症でお話していますが、ぼくも同じ苦しみを味わいました。
・首・肩が異常に凝る
・頭がぼーっとする
・汗がとまらない
・やる気が出ない
・噛み合わせの違和感がある
・顔・顎周りの筋肉の緊張が気になる
といった不定愁訴(自律神経失調症)の原因は、噛み合わせの悪さにあると思い込んでいました。
(咬合をいじってはいけない。「アゴのズレ」は原因ではなく、筋緊張の結果)
そして、噛み合わせの悪さはマウスピースでしか治せない、とも思っていました。
(顎関節症とかみ合わせの悩みが解決する本)
しかし、結論から言いますと、噛み合わせをマウスピースで治すことはできません。
そして、顎関節症をマウスピースで治すこともできないのです。
さらに、マウスピースで体調が悪化することもよくあるのでつけてはいけません。
この3点が今回の記事で最も言いたいことです。
それぞれ解説をしていきます。
噛み合わせをマウスピースで治すことはできません。
噛み合わせとはその名の通り、歯と歯の接触の仕方をいいます。
それを根本的に正すには矯正治療しかありません。
(近年矯正用のマウスピースがありますが、今回の記事で触れるマウスピースは矯正用のマウスピースではございません)
しかしネット上には、マウスピースで噛み合わせを治して健康になろう!といった記事がいっぱいです。
中には噛み合わせが悪いと不定愁訴や自律神経失調症を引き起こす、といった恐怖をあおってくる内容まであります。
それは本当でしょうか?
本当ではありません。
歯並びがガタガタの人や顎がずれていたり、しゃくれていたりする人は少なくありません。
また発展途上国などで適切な歯科治療を受けることが出来ず、歯が抜けてしまったままの方も大勢おられます。
そういった方々が不定愁訴や自律神経失調症、顎関節症で悩んでおられるのでしょうか?
全くそんなことはありません。
たとえ噛み合わせが完璧になったとしても、不定愁訴や自律神経失調症、顎関節症は改善されないままでしょう。
噛み合わせが「原因」ではないからです。
もっとも、「噛み合わせ治療がいらない」といっているわけではありません。
よく噛める噛み合わせにするため、きれいな歯並びにするために矯正治療を受けることは有効です。
しかし、不定愁訴や自律神経失調症、顎関節症を治すための噛み合わせ治療を受けることはNGなのです。
治らないから、です。
まして、マウスピースで不定愁訴や自律神経失調症、顎関節症を治すことなんかできません。
顎関節症をマウスピースで治すことはできない
顎関節症をマウスピースで治すこともできません。
そもそも日本顎関節学会はマウスピース治療を推奨していません。
【顎関節症患者のための初期治療ガイドライン]
顎関節症は、大規模な疫学調査の結果、進行する疾患ではなく時間の経過とともに(数日から数週間で)症状が軽くなる疾患であることが明らかになっています。
しかしながら、歯科医療分野においては、この疾患の症状改善や根治療法をうたって、十分な説明なく咬み合わせを修正する治療など、症状を悪化させるリスクのある治療が行われる傾向があります。
また歯の修復・補綴・矯正治療などをきっかけとして、顎関節症の症状が生じることがあります。
その症状は多岐にわたり、日常生活に支障をきたすほど重症な症状に悩む例もあります。
(日本顎関節学会)
年間2000人以上の顎関節症患者が来院し、世界最高峰の顎関節症治療を提供する「東京医科歯科大学顎関節治療部」もマウスピース治療はとっくの昔に中止しています。
効果がなく、すべきではない治療だからです。
しかしいまだに歯科医院で、マウスピースが使われるのは、顎関節症の原因が「歯の噛み合わせの悪さにある」と考えているからです。
歯科医院がコンビニの数より多い現状をふまえると、患者を逃すまいと過度で、そして自費治療にもできるマウスピースが使用されているのです。
勉強不足か商売目的の悪い歯科医であることが少なくありません。
顎関節症の最大の原因は歯の噛み合わせの悪さではありません。
最大の原因はTCHです。
(TCH(歯列接触癖)とは?:顎関節症の最大の原因が発見された!)
TCHについては後ほどご説明いたします。
顎関節症の最大の原因が噛み合わせの悪さではないので、マウスピースで噛み合わせをいじっても顎関節症が治らないのはある意味当然の結果かもしれません。
患者さんにとっては不幸な出来事ですが。
マウスピースを装着すると体調が悪化することもよくある
噛み合わせを正すためにマウスピースをつけて「効果がない」だけならまだましです。
しかし、マウスピースを装着することで体調が悪化することがあるので非常に危険です。
先ほどご紹介したガイドラインにも注意の言葉がありました。
しかしながら、歯科医療分野においては、この疾患の症状改善や根治療法をうたって、十分な説明なく咬み合わせを修正する治療など、症状を悪化させるリスクのある治療が行われる傾向があります。
その症状は多岐にわたり、日常生活に支障をきたすほど重症な症状に悩む例もあります。
手術が必要なほどの顎関節症でない限り、本来、顎関節症という病気はそれほど怖い病気ではないのです。
一生涯で2人に1人は経験するありふれた病気なのです(風邪のようなもの)。
それなのに、不必要な治療を受けたがために症状が悪化してしまうことがほんとによくあるのです。
不必要な治療とは歯を削ったり、マウスピースをつけて顎位を変えたりする治療です。
歯は一度削ると元には戻せません。
マウスピースを装着すると、安心して無意識に「マウスピースを噛みしめてしまう」ことがよく起こります。
ためしに歯をずっと噛みしめてみてください。
咬筋(噛む時の筋肉)がだんだん疲れてきませんか?
また全身(特に首、肩、下半身あたり)が緊張してきませんか?
その状態が寝ている間ずっと起こっている、ということです。
眠っているので気づきません。
しかし、マウスピースをつけたことで歯ぎしりを家族の人から指摘された人もおられると思います。
マウスピースを装着すると、知らないうちに噛みしめてしまい、全身の疲労につながるのです。
また、マウスピースをはめることで顎位が変わってしまうこともあります。
(容姿が変わる)
マウスピースをつけてから、
・朝起きると顔周りの筋肉が緊張している
・全身が疲労感いっぱい
と感じた方も多いのではと思っています。
では、どんな治療をすればよいのか?
では具体的にどんな治療をすればよいのでしょうか?
これは症状によります。
まとめましたので、ご参考にしてください。
1.歯科矯正治療~歯並び、噛み合わせを治したい方へ~
これは歯並びや噛み合わせを根本的に治療する方法です。
※顎関節症や不定愁訴、自律神経失調症を治す治療ではありませんし、治りません。
歯並びや噛み合わせを治したい方は歯科矯正治療を検討されると良いでしょう。
また現在、顎関節症でお悩みの方は、顎関節症の症状がなくなってから矯正治療を受けることをオススメします。
※顎関節症も矯正治療で治るものではありません。
2.TCH是正治療~顎関節症を治したい方へ
顎関節症はTCH是正治療で治していきます。
TCH是正治療は東京医科歯科大学顎関節治療部の木野孔司先生が開発した治療法です。
特別な器具を使うことはありません。
ぼくはこの治療法で救われました。
TCH是正治療について次の記事でまとめていますので、ご覧くださいませ。
3.うつ治療~不定愁訴、自律神経失調症を治したい方へ~
・顎が痛い
・顔周りの筋肉が緊張する
・全身が重いしだるい
・やる気が出ない
といった症状は、うつ病である可能性が非常に高いです。
(うつ病と顎関節症はなぜ間違いやすいのか~うつが「原因」で顎関節症は「結果」~)
ネット上の記事では、顎関節症や噛み合わせの悪さによって、うつ病のような症状が出ることがある、といった記事があります。
しかしそれは逆です。
うつ病の症状として、顎関節症や不定愁訴、自律神経失調症の症状が出ているのです。
・不定愁訴は「症状」であって「病名」ではない。~「症状」の治療になってませんか?~
・自律神経失調症は「症状」であって「病名」ではない。~真の原因は何か~
ここが本当に間違いやすいところです。
原因がうつ病であるのに顎関節症の治療ばかりしてしまうという悪循環に陥ってしまうのです。
(ぼくは陥っていました)
精神面の症状がそれほどなくて、身体面の症状ばかりが出る「仮面うつ病」という病気があります。
もしかすると、あなたのつらい症状は顎関節症ではなく、うつ病が原因かもしれません。
ぼくも長い間、自分がうつ病だと思わなかったのです。
その結果、治療が遅れました。
顎関節症治療で不定愁訴や自律神経失調症は治りません。
そして、顎関節症の症状に不定愁訴や自律神経失調症はありません。
うつ病治療も選択肢に入れてみてはいかがでしょうか?
一般の内科と同じような雰囲気で不安に思う必要はありませんよ。
うつ病の治療は以下をご覧ください。
ぼくの経験を少しお話します。
各医院でマウスピースの形態に違いはありますが、就寝時にマウスピースをはめて寝るだけといったものが多いです。
このマウスピース自体は保険適用なのですが、なぜか自費治療で作製と調整を行う医院が非常に多いのが現実です。
保険適用だと患者様に合ったマウスピースになっていない場合や保険適用外でも治らず苦しんでいらっしゃる患者様が多数おられます。
藁にもすがる思いの患者様は、「高額なお金を出せば治るんじゃないか」と思いますよね。
そういった患者様を見るたびに胸が苦しくなります。
僕の場合は、「【闘病記】うつ病と顎関節症」で詳しく述べていますが、長い期間…それは長い長い間マウスピース(スプリント)治療をしてきました。
大阪の有名な歯科医院です。
マウスピース(スプリント)治療を受けたその日は調子が良いのです。
「肩こりが消失する」
「頭がぼーっとしなくなる」
「首筋の筋肉の緊張が消失する」
「顎周り筋肉の異常な緊張が緩和される」
といった具合に。
しかし数日するとまた悪化していきます。
歯科医院の先生は「マウスピース(スプリント)は調整を繰り返して、3~6カ月と長い期間を経て治療していくものです」などと言って調整を繰り返していきました。
症状はやはり良くなったり悪くなったりの連続でした。
「マウスピース(スプリント)治療を受けた時は症状が良くなるのだから、体調不良の原因は噛み合わせにある」と思い込んでいる自分がいました。
その後、縁があって、木野顎関節研究所「木野顎関節研究所との出会い~救ってくれた歯科医院~」と出会い、マウスピースをやめるようになって、症状も人生も快方に向かっていったのです。
マウスピースを中断するのは勇気がいりました。
5年以上マウスピースをはめて寝ていたので、それなしの生活が考えられなかったのです。
また、外すと悪化するのではという不安がありました。
自分の体調不良は「噛み合わせの悪さ」にあると信じ込んでいたからです。
しかし、悪化などしませんでした。
むしろ頭は以前よりすっきりしましたし、就寝時の歯の(マウスピース)の食いしばりがなくなり、起床時の顎の疲れた感じも緩和されました。
「マウスピースをつけることで、就寝中に安心してマウスピースを噛んでしまうため、筋肉を疲れさせてしまっていた」と木野先生は教えてくれました。
健常者だって、咬み続けていれば疲れますよね。
その状態をずっと続けてしまってたんです。
マウスピース、噛み合わせ信仰はもうやめましょう。
インターネットや雑誌には、噛み合わせが悪いと全身に悪影響が出るといった記事がいっぱいです。
しかしその因果関係を示すエビデンスはありません。
マウスピース、歯の噛み合わせ治療を受けて一時的に体調が良くなるのは、大脳の歯の神経を司る部分が「とまどう」ため、緊張が緩和されるからです。
しかし、その咬合感覚に慣れてくると、また緊張させるため、症状も再出すると教えていただきました。
ですので、咬合ではなく、筋活動を管理すべきだということです。
「首、肩が異常に凝る」
「頭がぼーっとする」
「考えがまとまらない」
「イライラする」
「体が異常に重く感じる」
「汗がとまらない」
「死にたくなる」
「夜眠れない」
といった不定愁訴、自律神経失調症は本当に「噛み合わせ」が原因なのでしょうか?
僕は違うと思っています。
噛み合わせにこだわるのはやめませんか?
噛み合わせを恐れすぎて疲弊してしまっていませんか?
本当の原因は他にあるはずです。
僕の場合は、「うつ病」が真の原因でした。
うつ病によって、筋肉が緊張していて違和感を引き起こしていたのです。
ひとりでも、高額なマウスピース(スプリント)治療、咬合治療でお悩みの方の救済になればと思い、この記事を書きました。
おわりに
では内容をまとめます。
Ⅰ、噛み合わせ治療にマウスピースを使用してはいけない
Ⅱ、噛み合わせを治しても不定愁訴、自律神経失調症、顎関節症は治らない
Ⅲ、不定愁訴、自律神経失調症、顎関節症の原因はうつ病かもしれない
悩んでいる方のご参考になれば幸いです。
本日もありがとうございました。