顎関節症治療のパイオニアを謳う大阪の歯科医院は怪しい:その理由と商売っ気ムンムンのHP
2017/10/19
目次
食いしばり・顎関節症がマウスピースで治るのか
こんにちは、青年A(@seinen1234)です。
本日は、大阪の怪しい顎関節症治療院についてお話します。
具体的な医院名は避けますが、「顎関節症」と検索してトップに広告が出てピンク色のサイトをした歯科医院です。
すべての不定愁訴の原因が食いしばりだと考えているようで、マウスピースを使って治療しています。
しかし、僕も(この医院に)通った事がありますが信じてはいけません。
自律神経失調症や不定愁訴の原因が噛み合わせの悪さや顎関節症にあると思ってしまう患者さんを1人でも救うために今回の記事を書きました。
(自律神経失調症は「症状」であって「病名」ではない。~真の原因は何か~)
まずは僕の(この医院の)診療体験からお話できればと思います。
参考になれば幸いです。
マウスピースでしか治らないと思っていた浪人時代
もう8年も前のことです。
高校を卒業した僕は、大学受験のために予備校で浪人生活をしていました。
当時から「体が異常に重い」「汗がとまらない」「顎がカクカクする」といった症状に悩まされて病院を転々とする毎日を過ごしていました。
(ドクターショッピングの日々~歯医者を中心に~)
自律神経失調症や不定愁訴の原因は噛み合わせの悪さや顎関節症のせいだと思い込み、マウスピースでしか治せないと思っていました。
ケータイで「顎関節症 治療」とか「顎関節症 マウスピース 大阪」と検索していると、今回の医院のHPが出てきました。
頭がぼーっとする中、電車に揺られて歯科医院を訪ねた記憶が今でも残っています。
夏の暑い日でした。
1回目の診療:マウスピースを噛んでみ!良くなったやろ?
早速その歯科医院を訪れ、よくある問診票に症状を記入。
その後、診療台に先生が登場。
僕が他の病院で作ったマウスピースを見て「これじゃあ治らんな~」と一言いいました。
僕は期待しました。
「新しい方法で治してくれるかも」と。
そして、その下あご装着のマウスピースに穴をあけ、その穴に上の歯をはめるように言われました。
マウスピース噛んでみ!と。
要するに、先生が良いと思う噛み合わせの位置に下あごを誘導するため、上下の歯をマウスピースに噛んだ状態にするのです。
その状態で10分程いてくださいと言われて診療台でゆっくりしました。
しかし体調が良くなった実感はありません。
しばらくして先生が戻ってきて一言「どやっ良くなったやろ?」。
(体調が)変わっていませんと言いにくい口調だったので、思わず「ちょっと左肩の凝りが良くなったかもです」と言ってしまったのを未だに覚えています。
そして2週間そのマウスピースをつけるように言われてその日は終了。
HPにはOリングテストやら何やらの精密な検査で下あごと噛み合わせの位置を決めていくと書いてあったのに、わりと感覚的にそれらを決めた印象を残して医院を去りました。
2回目の診療:夜間スプリントと保険適用外
まだかすかな希望を胸に、2週間後に2回目の診療に臨みました。
僕の話はあまり聞かず、すぐに診察スタート。
そして夜間用の食いしばり防止ミニスプリントを作ることに。
当時は保険の範囲内で作ってもらいましたが、今現在のHPを見ると何やら高額な値段になっていますね。
当時から実用新案権やらを取得済みと言っていて(何も知らない僕は権威を鵜呑みにして)「すごい装置なんだ」「これは信頼できる」と思い込んだ記憶があります。
そしてミニスプリントを作ると同時にひざ辺りのマッサージもし始めました。
現在のHPでは見つかりませんが、当時は整体も勉強していたらしく、整体を組み合わせることで食いしばりを治せるとか言っていました。
(顎関節症の治療で整体に行っても治りません:治らない理由を説明します)
そしてひざ当たりのマッサージ後「どやっ良くなったやろ?」とまたしてもこの一言。
さらに「この先の治療は、今決めた噛み合わせで噛めるように歯を削って高さを変えたりしていきます。保険適用外の治療となっていきます」と言われて、お金のない僕は「親と相談します」と言って診察終了。
結局、夜間ミニスプリントを付けても体調は良くならず、信頼もできずに医院を後にしました。
マウスピースで噛み合わせ・顎関節症は治らない
結論から言うと、マウスピースで噛み合わせ・顎関節症は治りません。
(顎関節症にマウスピースを使ってはいけない!:4つの理由と正しい治療法)
マウスピースをつけた瞬間は、脳が新しい歯の感覚に戸惑って緊張を緩めて食いしばりが緩和されることがあります。
しかし、しばらくすると脳がその感覚に慣れてマウスピースを噛み始めます。
マウスピース治療経験者の中には、マウスピースの上に乗せたレジンが粉々になった経験がある方も多いでしょう。
それは食いしばっているからです。
食いしばらないためにマウスピースを付けるのに、マウスピースを噛んで食いしばってしまうという本末転倒に陥ってしまうのです。
日本の顎関節症治療の最高峰「東京医科歯科大学顎関節治療部」をはじめとした世界の有識者は、今現在マウスピースなんて使っていません。
こんなので治るのかと思うかもしれませんが、歯と歯を噛み合わせないように意識づけるTCH是正訓練療法が主流なのです。
詳しくは「TCH是正治療~顎関節症の治療方法!これで僕は治りました~」の記事に任せるとして、お伝えしたいのはマウスピースを使ってはいけない!という事です。
マウスピースで一時的に良くなっても、しばらくするとまた悪くなるし、外せば元に戻っていきます。
元に戻るだけならまだいいのですが、僕のように歯の上下に隙間ができるオープンバイト(開咬)になってしまうと最悪です。
(歯ぎしりにマウスピースを使わないで!:あかん理由と本当の治療法)
矯正治療でしか元に戻せず、長い年月とお金がかかるからです。
マウスピースを歯につけることで、上下の歯に(マウスピースの高さ分)隙間が出来ます。
この状態が記憶されることで、わけの分からない噛み合わせとなってしまう方も少なくありません。
さらにマウスピースで顎関節症が治るというエビデンスは全くないのもあまり知られていません。
マウスピース作成が自費治療の歯科医院も多く、中には100万円を超えるお金を費やした方もいるようです。
このようにマウスピースによって、
・食いしばりが続く(強化される)
・噛み合わせを壊してしまう
・大金を失う
リスクがあり、実は危険な治療法だという事をお伝えできればと思います。
おわりに
顎関節症の治療は「TCH是正治療~顎関節症の治療方法!これで僕は治りました~」にまとめていますので、またお読みください。
大阪で顎関節症治療の病院を探す時、まずはネットでググる人が多いでしょう。
すると今回の歯科医院が上位にヒットすることが多いです。
しかし(ネットの仕事をしているから分かりますが)上位に来ている医院が良い医院だとは限りません。
SEO対策といって、自分のサイトを上位に来る対策があったりするからです。
あなたの顎関節症の悩みは何でしょうか?
・顎が痛いことでしょうか?
・首、肩が異常に凝ることでしょうか?
・言葉にできない無数の不定愁訴・自律神経失調症でしょうか?
本来、顎関節症はそんなにこわい病気ではないんです。
(『自分で治せる!顎関節症』(木野孔司):ついに分かった!顎関節症の最大の原因はTCH)
もし3番目の「言葉にできない無数の不定愁訴・自律神経失調症」の原因を歯に求めているなら危険です。
原因は「歯」ではなく、心の問題の可能性があるからです。
(噛み合わせの違和感をなくしたい!原因は「歯」ではないかもしれません)
心の問題といっても気合いで治ると言いたいのではありません。
軽いうつやうつ病による精神・身体症状の可能性が高いと思うんです。
僕はそうでした。
歯科医院のドクターショッピングをするのではなく、そういった方は一度心療内科・精神科を訪れるのが良いかもしれません。
(うつ病の病院選びにお困りの方へ:うつ経験者が選び方を教えます!)
皆さまの健康を祈って本日も終了とさせていただきます。
お読みいただき、ありがとうございました。
青年A