『こんなツレでゴメンナサイ。』 (望月 昭,細川 貂々)~「うつ病」は必ず治ります~
2017/10/19
ツレうつの「ツレ」が書いた本
(ぼくの所有本)
こんにちは、青年A(@seinen1234)です。
今回ご紹介する「こんなツレでゴメンナサイ。 (文春文庫)」は、大ベストセラー「ツレがうつになりまして。」のツレ(うつ病の主人公)が書いた本です!
ちなみにこの三冊はほんとおすすめで、僕のウェブサイト「うつ、顎関節症を治そう」のトップページ下にも掲載しています。
この「ツレがうつになりまして。」は宮崎あおいさん、堺雅人さんが主演で映画化もされました。
『こんなツレでゴメンナサイ。』 では、相棒「細川貂々」さんとの出会いの話やツレ(本人)がIT戦士となる前の話(アルバイト生活)、病気のより詳しい話がほんと分かりやすく書かれています。
<第3章 僕はこうして相棒と出会った>
自分は変人だから結婚できないと思っていた2人が、自分と良く似た相手に、絵の専門学校「セツ・モードセミナー」で出会ってしまう。
しかも、この学校の他の生徒や教師たちときたら真性の変人ぶりで、自分たちなど単なる自称変人にすぎなかったのではないかと思わされるような環境だったので、そこでは比較的マトモな2人としてお互いを認識することになった。
そして恋に落ち、幾多の苦労を経て、結婚することになった。
大学を卒業して、なんとなく半端社会人のような立場になってしまった。
僕はライターの真似事をし、小説の持ち込みをした。
小説では食べて行けなかったが、漫画の原作の仕事をもらったりした。
原作を持っていった漫画家の先生に捕まって、少年漫画のアシスタント業をしていたりもした。
ゴールデンウイークには和菓子の工場で短期アルバイトをし、年末にはサンタクロースの恰好をして街角に立っていた。
日本中が金持ち狂想曲で浮かれていた。
そんなとき僕は貧乏だった。
<僕とうつ病>
僕は2004年の1月にうつ病という診断をされ、患者となったのだけれど、そのときに発病したというわけじゃない。
その3カ月前くらいからずっとおかしかった。
体調が悪いことを自覚していたので、病識があったということになる。
不調の内容は、不眠と、下痢・便秘をくり返す胃腸の不良だ。食欲もなかった。
さらに不調になる前のことをさかのぼると、これまた妙な具合だったのだ。
自分がおかしい、とは思わなかった。
天賦の能力を発揮しはじめているのだ、天才だったのかもしれない、とそんなことを考えていた。
ちょっと躁病みたいだ。
そして、ついに「気持ちの落ち込み」が自覚されるようになる。
今思えば、これがうつ病の典型的な症状の始まりというところだ。
この病気は必ず治るんだというメッセージを伝えたくてこの本を書くことにした。
”まえがき”の言葉で勇気づけられます。
「うつ」は変わった病気です。
ココロとカラダの両方に耐えられないほどの苦痛が伴うのに、なかなか理解されない病気です。
(うつが甘えじゃない理由:思い込みにとらわれてはいけない)
それは”目に見えない”から、と言えるかもしれません。
しかし、病気であることは確かです。
(うつはこころの病気というよりカラダの病気だと思う)
そして、長引く病気でもあります。
ツレさんは約3年かかったようです。
それでも、薬物治療と休養、生き方・考え方を変えることで、この病気を克服していらっしゃいます。
ーー★関連記事★ーー
薬物療法~抗うつ薬、抗不安薬~
休養~休養は治療の1つです~
「病は気から」~うつ病になりやすい性格をアンインストールする~
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いつものように、本書の一部を抜粋してご紹介いたします。
<まえがき>
僕は2004年にうつ病になってしまった。
それで、2006年には、ほぼ良くなった。
なので、僕もこんな本を書くことにした。
漫画のキャラクターとして、カメのように布団を被って泣いていた僕が、本当はどんなことを考えていたのか文章で書いた本というのも、うつ病になった当事者の声としては読みごたえがあるだろうと思ったからだ。
<使い物にならない自分にビックリ>
僕は、理由はわからないが、自分がとても妙ちくりんになっていると思っていた。
おかしな人がやるようなことを、言ったりやったりしていると自覚もしていた。
そして死にたくもなっていた。
ただ、自分の中では、「大したストレスなどないぞ」と思っていたので、病気になってしまったのはちょっと不可解だった。
以前もっとずっと大変だったときにも、うつ病なんかにならなかったのに。
朝起きて会社に行こうとする。
会社に行きたくないと思う。
会社に行けないくらい弱い人間なら死んだほうがマシだ。と飛躍した考えを抱く。
常にまちがった判断を繰り返す僕をみていて、相棒がついに切れた。
「今すぐ会社を辞めてちょうだい。会社辞めなかったらリコン!」
また相棒の厳命が出てしまった。僕はリコンだけはしたくないのだ。
<これは本当に病気なんだなあと実感>
会社を辞めてしまうことには、かなり抵抗があった。
僕は20代はフラフラしていて、30代になってサラリーマン生活を選択したものの、正社員としてマトモに収入を得るようになるには苦労したのだ。
それで、40歳を目前にして、また会社を辞めてしまったら、再就職にすごく苦労するだろう。
賃金もずいぶんと下がってしまうかもしれない。
イグアナは人間の子供ほどにはお金がかからないが、半人前くらいはかかる。
冬場の暖房に電気代がかかるし、夏は餌代がかかる(冬は電気代プラス2万円プラス餌1万円、夏は電気代1万円プラス餌2万円といった感じだ。常に月3万円程度)。
いや、イグアナどころではない。
僕の収入がなくなったら、イグのパパとママであるところの人間だって食うのに困るのだ。
<会社を辞めて療養生活>
3月が始まった。
無職の身となった。
療養生活をする病人である。
僕はどうしてこうなっちゃったんだろう、と思う。
こんな大人になるはずじゃなかったのに。
この先どうなるんだろう。
会社を辞めるべきではなかったのではないか。
でもやっぱり、続けることはできなかったよな。
そんなことをずっとクヨクヨと考えている。
<怠けるのが仕事です>
僕のうつ病は、薬を飲んでいた期間だけいうと、3年にわたる。
ちょうどその中間ともいうべき、1年半が過ぎた頃に、相棒が描き上げたのが『ツレがうつになりまして。』だ。
ここには、闘病1年半にわたる僕の姿が描かれている。
闘病2年が過ぎて、3年目に入った。
うつ病の影響はもうほとんど残っていないようだと思っていた。
不眠に苦しむこともないし、焦ってイライラすることもなくなっていた。
ココロがほっこりとするあったか~い本
紹介はしませんでしたが、この他にも結婚講座の神父さんの話や周りの人たちの支え、子どもを妊娠した話など、ココロ温まるエピソードがたっくさん詰まっています。
うつ病の本というと、暗いイメージがあるかもしれませんが、この本はユーモアあふれるタッチで、かわいい絵とともに読みやすく書かれています。
Amazonレビューも参考になります。
↓
<好感持てる>
ツレうつが凄く面白かったんで、今頃なんですが、次々はまって読んでます。
当然ツレさんには興味ありましたが、貂々さんへの愛情が深く感じられて、正直羨ましいのと、凄く好感持てるなぁ〜って思った。
何かいいなぁ〜って。
読みおわって、ほのぼのしました。
それは内容が、本当に真実で正直で真っ当だからかなと思います。
うん。そうだな。
<身近に感じられた本です>
うつ病の主人が、経験者の本を読んでみたいということで購入しました。
そのときの辛さなど、共感できる部分があると読んでホットしていたようです。
私も、あんなことがあったこんなことがあったと、重ね合わせて読みました。
大変な中でも、思いやりのある家庭の温かさが伝わるような作品です。
<「ツレがうつになりまして」の舞台裏>
「ツレがうつになりまして」の舞台裏(ツレの視点)が読めます。
鬱病に関して、興味がある人が読むとどのような経緯で当事者の視点で病気になり、治っていくのかが分かるため勉強になりました。
また、夫婦のなりそめと病気の際の支え合いも読めるため感動できる一冊でした!
<馴れ初め、結婚、闘病戦記>
「僕はリコンだけはしたくないのだ。」(p36) が印象的。
「病院に寄っていくこと。それができないならリコンだ。」(p30)が伏線となっていて心憎い。
読み進むにつれ引き込まれてしまった。
紋切り型だが、馴れ初めから結婚までも含めて上手に語っている。
すごい文才だ。
夜勤で相方とすれ違い生活を、自転車1台が共有でき、自転車が一番働き者と銘打つあたりはおもしろい。
「人生の時間をずっと捧げるんだよ、好きな仕事でなかったら続けていても意味はない」(p186)という台詞も強烈。
「ピンチをチャンスにできないでいる。ピンチをピンチのまま受け流すことを選んだのだ。」(p188)はシビア。
転職の経緯や、蓄音機、ウォーキング、ゴジラ、印税、青色申告、菜食主義(ベジタリアン)、貧血、ヌマエビ、リクガメ、レーザーディスクと話題満載だ。
非正規(アルバイト)による景気の象徴への八つ当たり行為のくだりなど面白かった。
ツレがうつになりまして。が手元にあると復習ができてより良いだろう。
うつとの闘病戦記が半分弱くらいだろうか。
参考になった本として、うつ、仏教、老子関連の本の紹介もされている。
うつ病を治すノウハウ系の本ではなく、実話の闘病物語を読みたい方におすすめの一冊です。
本日もありがとうございました。
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