『ツレと貂々、うつの先生に会いに行く』(細川貂々):「ツレうつ」シリーズ”細川貂々”さんと人気精神科医”大野裕”先生のコラボ本
2017/11/23
目次
『ツレと貂々、うつの先生に会いに行く』(細川貂々)を患者さんにものすごくオススメしたい!
こんにちは、青年A(@seinen1234)です。
今回ご紹介させていただく『ツレと貂々、うつの先生に会いに行く』は、あの大ベストセラー「ツレがうつになりまして。」を生み出した”細川貂々”先生の続編本です。
細川貂々さん
埼玉県行田市出身の漫画家、イラストレーター。
夫・望月昭さん(通称ツレ)のうつ闘病記を綴った『ツレがうつになりまして。』が大ベストセラーとなり、一躍有名になる。
(「ツレうつ」はその後テレビドラマ化&映画化され、うつ病をより身近なものにしてくれた)
かわいいイラストとわかりやすい文章が特徴的。
『ツレと貂々、うつの先生に会いに行く』(細川貂々)はこんな人に読んでほしい
『ツレと貂々、うつの先生に会いに行く』は次のような人に読んでほしいと思っています。
・うつの本がどうも難しく感じる方
・うつの本当のことが知りたい方
・細川貂々さんのファンの方
・うつの孤独感に耐えられない方
このような方にぴったりの本だと思います。
いつものように、本書の一部をご紹介します。
『ツレと貂々、うつの先生に会いに行く』(細川貂々)の要点抜粋
・2004年1月ウチのツレがうつ病と診断されました。
2006年12月、薬を飲まなくても良くなり寛解になりました。
・体の健康に気をつけてる人は多いのに、どうして心の健康に気をつける人はいないんだろ…
・うつ病ってがまんして頑張りすぎる人がなることが多いです。
本人も気づいてないことが多いですし、自分は関係ないと思ってる人がいます。
(誰でもなる病気なんですよねー)・一般的にこのような強いストレスを受けた状況がきっかけになります。
◆環境の変化(人事異動、結婚、出産、老化)
◆喪失体験(身近な人の死・失業)
◆病気、体調の悪化(がん、脳卒中、パーキンソン病など)
◆人間関係(パワハラ、上司・部下との付き合い)
・うつ病になる過程
1、元気→2、うすいグレーに→3、一定の線をこえると→4、真っ黒→5、病気
(いつの間に?って感じです)・自分にとって何がストレスか知ることが大切です。
例えば、人と話すことが苦手だったら、その人にとって営業という仕事はストレスになる。
・うつ病の人に周囲はどのように接すればいいか
⇒いつもと同じように接する。
(ハレもの扱いすると、「自分は迷惑をかけている」と落ちこむ原因に)⇒本人の話を聞いてあげる。
⇒本人のペースを優先する。
⇒時々は距離を置く。
・うつ病患者の気持ち「ずっとこのまんまなんじゃないか…」
⇒うつ病という現実は、患者の想像を超えたところで起きている。
だからきっとあなたの想像した通りにはなりませんよ。
・先のことは誰も分かりません。今どうするかを考えましょう。
・うつ病は良くなったり、悪くなったりを繰り返して回復する。
悪くなった時、本人も周りも諦めない。
・うつは必要だと思うんです。
⇒私はうつになるのは、その人にとって必然性があったからだと思うんです。
体の防御反応なわけです。
頑張りすぎている、無理をしている、自分がつぶれそう→うつの症状を出すことで、心がブレーキをかけてる。
それを無視してさらに進むと、キズはさらに深くなる。
(『ツレと貂々、うつの先生に会いに行く』より)
『ツレと貂々、うつの先生に会いに行く』(細川貂々)がすごいところ
この本がすごいのは次のようなところです。
1、イラストがかわいくてストレスなく読める
⇒細川貂々さんはさすがプロの漫画家。
絵のうまさはピカイチです。
それもアニメのような空想キャラみたいにならずに、リアルさを演出したイラストになっていて、親近感が沸きます。
文字ばっかりだと読むのが疲れてしまいます。
こういった絵がたくさんあると、スムーズに読んでいけますね。
2、かんたんな言葉を使っていて分かりやすい
⇒小学校低学年でも分かるような言葉を使ってうつ病を説明してくれています。
医学系の本にありがちな難しい専門用語や回りくどい表現は一切ありません。
うつ病で思考力が低下した状態でも内容が頭に入ってくるような仕上がりになっています。
実際、この本を僕が読んだ時はまだうつ闘病中でしたが、本書の言ってることはスーッと理解できたことを今でも覚えています。
(僕のうつ体験記についてはこちら→「【闘病記】うつ病と顎関節症」)
3、”ツレ”(うつ当事者)のアドバイスも書かれている
⇒やはり、うつ当事者の言葉は説得力が一味違いますね!
共感の嵐です。
そして、ツレさんのうつ克服アドバイスは「誰でも実行できる」簡単なものとなっていてありがたいです。
この人だけしか出来ない治療法だと、僕たち一般人には参考になりませんから。
そして、ウツに対する考え方や心構えも書いてくれていてすっごく勉強になります。
(「病は気から」~うつ病になりやすい性格をアンインストールする~)
4、うつ治療の権威”大野 裕”先生のうつ対策方法がふんだんに書かれている
⇒この本は、細川貂々さんとツレ(夫・望月昭さん)が大野 裕先生に診察してもらうという設定のストーリーです。
その設定自体がユニークで他の本にはないところですが、診察してもらう先生が、あの”大野 裕”先生なのです!
大野裕先生については、「『「うつ」道場!』(大野 裕):雅子様の主治医が解説!女性のための‘うつ’対策本」でも紹介していますが、うつ治療の権威と呼ばれる方です。
慶應義塾大学教授で、認知行動療法の日本における第一人者の方です。
(日本認知療法学会理事長、日本ストレス学会副理事長、日本うつ病学会理事、認知行動療法活用サイト「うつ・不安ネット」も監修されています)
お会いしたことはありませんが、お人柄も温厚でとっても人気の先生だと言われています。
非常に多忙な先生なので、僕たちが直接大野裕先生に診察してもらうのは難しいですが、この本を通して大野裕先生のアドバイスを知ることはできるのです。
そういった意味でもいい本だな~と感心させられました。
Amazonレビューも参考に
僕だけの声ではなく、アマゾンのレビューも一部引用してご紹介します。
読者さんの参考になれば幸いです。
【鬱病について分かりやすく理解できる本!】
ツレウツは、ツレの闘病生活をコミックで描くことによって鬱病について読者へ伝えようとした本でした。本作は専門医の意見を交えて、鬱病という病について詳しく描かれた「ツレウツ完結編」とも言える内容です。
本作を読むと鬱病とは何かが非常によく分かります。
病気の予兆、発病、治療や周りの人々の対応など基本的なことの他に、子供や周囲の人へは病気のことをどのように伝えたら良いのか?といった細かな事柄まで描かれています。
病気について正しく知ることができ、分からないことは正直に分からないと書かれるなど正しく情報を伝えようという意図がみえて好感度が持てました。
鬱病と躁鬱病の違いや新型鬱病など、漠然としか知らなかった情報なのでとてもためになりました。
【うつは誰でもかかる可能性がある!】
大変参考になり、わかりやすかったです。
テンテンさんとツレさんの漫画はほとんど読んでいます。
今回のこの本は医学的要素も入り、少しでもうつかもと思ったら、ぜひ手にとって欲しい本です。
【繰り返し読むこと薦めます】
うつ病は肯定と否定を繰り返すところがあり、症状がなかなか改善しないと、何かと深堀したくなり、ドツボにはまることがある。
本書には病気の時に患者や家族が対応すべき、オーソドックスな方法が書かれているので、その時の状態を再確認し対応するという意味においては、この程度の内容を漫画形式で繰り返し読む方が良いと思う。
本書の内容は作者のこれまでの作品にある程度の関連性があるので、「ツレうつ」「イグアナの嫁」「続ツレうつ」といった過去の作品と併読することをお薦めする。
おわりに~僕は心療内科でこの本と出合った~
『ツレと貂々、うつの先生に会いに行く』は、僕がお世話になっていた心療内科で出会いました。
(左診療所~親切親身になってくださった精神科・心療内科~)
たまたま雑誌コーナーの隅に置いてあったのです。
本を開いたとたん、衝撃を受けました。
体の健康に気をつけている人は多いのに、どうして心の健康に気をつける人はいないんだろ…
(『ツレと貂々、うつの先生に会いに行く』の一文)
この言葉が胸に刺さりました。
『あの時の僕と同じだ…』
心の健康に気を遣わなかった自分に向けられた言葉のように感じました。
そして、むさぼるようにこの本を読みました。
何度も恐縮ですが、この『ツレと貂々、うつの先生に会いに行く』は、「ツレがうつになりまして。」、「その後のツレがうつになりまして。」、「7年目のツレがうつになりまして。」シリーズで大人気の”細川貂々”先生の作品となります。
上記作品との大きな違いは、大野裕先生というプロの精神科医の解説が入っている点です。
僕の持ってるうつ本の中でも、特に大事にしたい一冊なので、読者の方にもおすすめさせていただきます。
本日もありがとうございました。
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