「マンガでわかりやすい うつ病の認知行動療法」(大野 裕)~やり方がわかりやすく書かれたオススメ本~
2017/10/08
認知行動療法を肌で体験することが大事だ
いま、うつ病治療で認知行動療法が大注目されています。
すごい勢いで紹介されていますね!
ものの考え方、捉え方を見直す治療で、うつ予防・再燃予防にも効果があると言われています。
今回ご紹介する「マンガでわかりやすい うつ病の認知行動療法―こころの力を活用する7つのステップ」は日本の認知行動療法の権威「大野裕」先生の本となります。
本日もよろしくお願い致します。
「大野 裕」先生とは?
国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター所長。
専門は臨床精神医学、認知療法。
愛媛県生まれ。1978年慶應義塾大学医学部卒、
2011年6月より国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター所長。
日本認知療法学会理事長。日本ストレス学会副理事長。
うつ病などに対する認知療法の権威であり、一般向けの著書を多く執筆し、皇太子妃雅子の主治医として知られる。
(引用元:ウィキペディア)
日本の認知行動療法の権威。
日本の認知行動療法で最も有名な先生かと思います。
この本は認知行動療法の入門書という位置づけです。
まんがでわかりやすくスラスラと読み進めることができます。
認知行動療法以外にも、コラムで「疲れを取る睡眠のコツ」や「問題解決の方法」も書かれていて、非常に参考になります。
以下いつも通り書籍の一部を抜粋します。
【認知行動療法は、こころの知恵のエッセンス】
認知療法、認知行動療法は、認知、つまりものの見方や考え方に目を向けることで気持ちをコントロールしようとする精神療法(心理療法)です。ものの考え方や受けとり方は、意識すれば変えることができます。
行動も意識すれば変えることができます。
受けとり方や行動を変えると、気持ちが変わってきます。
だからといって、何か難しい方法を身につける必要があるわけではありません。
認知行動「療法」というと、特別なもののように受けとられることがありますが、決してそうではありません。
よくない展開を予測して、そうならないように準備することは大事です。
しかし、よくない予測が必ず起こるかのように考えてしまうと、つらくなります。
私たちが悩んでいるときには、こうしたことが起こりやすくなっています。
〈現実に目を向けよう〉
認知行動療法はプラス思考をさせる精神療法(心理療法)だと誤解されることがありますが、決してそうではありません。私たちは、問題を解決しようとすると、目の前の問題に目を奪われて、ほかに目が向かなくなってしまうことがよくあります。
でも、いくら大きな問題が起きたとしても、それは生活の一部です。
そのほかに自分にとって大切なことがたくさんあります。
〈認知再構成法(コラム法)〉
1、状況
具体的な場面を切り取ります。
例)プレゼンして困った場面
2、気分(感情)
そのときの気分を書き出してパーセントで表現
100%がもっとも強い
ここで気をつけておきたいのは、そのとき体験している気分がすべてよくないというわけではないということです。
親しい人と別れないといけないときに悲しくなったりするのは自然なことです。
そうした気持ちまで抑え込んでしまうのは、決して望ましいことではありません。
しかし、悩んでいるときには、その気持ちが強くなりすぎているものです。
その場合には考えが極端になって柔軟に考えられなくなっていることが多いので、自動思考に目を向けて現実に沿ってしなやかに考えてみるようにしていきます。
3、自動思考
気分が動揺したときに、頭に浮かんでいた考えやイメージを具体的に書き出します。
主語を入れるように意識してください。
自動思考がうまく把握できないときには、
①自分について
②周囲について
③将来について
どのように考えたかを見返してみるとよいでしょう。
うつの状態の時に、私たちは、自分に対して、
周囲との関係に対して、 将来に対して悲観的になっているからです。 これを専門的には「否定的認知の三兆」と言います。
4・5、根拠と反証
ここでは事実をできるだけ冷静に書くようにします。
(~だから~と考えた。過去は~だった)6、適応思考
次につながる現実的な考えのことです。
「根拠」と「反証」のところに書いた文章を、「しかし」でつなげてみるとよいでしょう。
バランスのよい考え方が見えてきます。
それだけで気持ちが楽になることがよくあります。
「こういういいこともある。しかし、よくないこともある」と、よいことを否定するようになるとつらくなるので、よいことはあとに持ってくるようにしましょう。
7、いまの気分
気分(感情)の欄で書き込んだ気分が、変化したかどうかを確認します。
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この流れを「型」として頭に入れておくと、悩んだときに自分で自分の考えを振り返って、しなやかに考え、こころを軽くすることができます。
適応的思考を書き出してはみたものの、どうも腑に落ちないということもあるでしょう。
そうしたときには、新しい考えがどの程度現実的か、実際の生活の中で確認したほうがよいでしょう。
そのように、実生活の中で確認したり検証したりすることを、認知行動療法では「ホームワーク(宿題)」と呼んで重視しています。
認知療法の創始者であるアーロン・ベック先生も、「肌で体験することが大事だ」と私に強調していました。
<問題解決力を高める>
問題を解決するためには、明確な目標を決めることが大事です。
問題解決がうまくいかないときには、課題がはっきりしていないことが多いのです。
思いつく限りの解決策を書き出すようにしてください。
問題を目の前にすると、私たちは、つい1つの解決策にとらわれて、「これしかない」と決めつけてしまうことがよくあります。
しかしこうしたときには絶対的な解決策はありません。
このようにして解決策を決めれば、次にはそれを実行するための計画を立て、準備をして、そして実行します。
認知行動療法をマスターすれば、自分で自分を治すことができる
お薬が必要ないというわけではありません。
薬の治療は必要です。
(うつ治療のメインは薬物療法~抗うつ薬が効く理由~)
認知行動療法「だけ」で精神疾患を治すことはできません。
しかし認知行動療法のすごいところは、ものの考え方、捉え方をあらためることができる点です。
それは薬には出来ません。
うつ病になってしまう方には特有の考え方がみられます。
「完璧主義」「~するべきべき思考」「過度な一般化」「将来の悲観」「極度の不安」などです。
それらの考え方は良い面もあれば悪い面もあります。
バランスが大切なのです。
そのバランスを整える療法が認知行動療法だと考えれば分かりやすいかもしれません。
もちろん僕も読みました。
一読をおすすめ致します^^
本日もありがとうございました。