新しい抗うつ薬ができるかも!?うつ病の症状を改善する脳内の経路が新たに発見された
2017/12/12
目次
「うつ」を抑える神経回路が見つかった
こんにちは、青年A(@seinen1234)です。
本日は医療サイト”ヘルスキュア”で紹介されていた記事「新しい抗うつ薬の開発につながる可能性!? うつ病の症状を制御する脳内の信号伝達経路を新たに発見」の紹介と僕の意見を書いていきます。
早速ですが、始めていきますので本日もよろしくお願い致します。
抗うつ薬が効かない人がいる
悲しいかな、現在の抗うつ薬では効かないor効きにくい人が存在します。
うつ病治療の一つとして挙げられる抗うつ薬治療では、十分な効果が見られない人が多く、新たな抗うつ薬が求められています。
なぜ効く人とそうでない人がいるのでしょうか?
僕なりの考えですが、その理由は3つあると思います。
1.うつの原因がはっきりと分かっていないため
2.薬の選択が間違っているため
3.そもそもうつ病ではないため
それぞれ見ていきます。
1.うつの原因がはっきりと分かっていないため
うつ病の原因が脳内の何らかの異常であることは分かっていますが、「何らか」の詳細は分かっていません。
(うつはこころの病気というよりカラダの病気だと思う)
セロトニンやノルアドレナリンの減少が原因と考えられていますが、それだけでは説明がつかないのです。
なぜなら、抗うつ薬を服用すれば、それらはすぐに増加するからです。
しかし効果を発揮するのに約2週間かかったり、治療に時間がかかったりします。
真の原因はBDNFではないかと言われたりしていますが、「うつ」はまだまだ謎の多い病気なのです。
(「躁うつ病に挑む」(加藤 忠史)~うつの原因は脳由来神経栄養因子(BDNF)?~)
原因が分からないので、現在の抗うつ薬では効く人とそうでない人が出てしまうのです。
2.薬の選択が間違っているため
双極性障害(躁鬱病)の人にうつ病の薬を投与しても効きません。
いや、気分が高揚しすぎて問題を起こすことさえあります。
(『私のうつノート』(龍野 晋一郎)~ファイザー医学記事優秀賞!双極性障害サラリーマンに読んでほしい~)
精神科領域の病気は血液検査などの客観的な検査が現時点ではないので、確定診断が難しいのです。
(うつ診断に光トポ検査は役立つか?(上):検査結果を鵜呑みにしてはいけない)
その結果、間違った薬を投与してしまって、薬が効かないという結果に陥ってしまうことがあります。
3.そもそもうつ病ではないため
うつ病100万人時代と言われ、現代病の一つとなったうつ病。
世間の理解も徐々に高まりつつある背景から、以前より気軽に心療内科・精神科を受診できるようになりました。
(うつ病の病院選びにお困りの方へ:うつ経験者が選び方を教えます!)
その結果、一時的な気分の落ち込みや違う病気の人まで受診するようになり、それを気分障害だと誤診して抗うつ薬が投与されるケースも否定できません。
新しい抗うつ薬の可能性
そういったこともあり、各国でうつ病治療薬の研究・開発が行われています。
今回はアメリカの報告です。
ネズミを使った研究で、うつ症状を制御する脳内の信号伝達経路が新たに発見され、新しい抗うつ薬の開発につながる可能性があると分かりました。
アメリカのノースウェスタン大学フェインバーグ医科大学院の研究グループが、生物学的精神医学分野を扱うモレキュラー・サイカイアトリー誌で2016年10月4日に報告しました。
研究グループは、抗うつ薬が脳内でどのように作用しているのか、より研究する必要があると考え、ネズミを使って2種類の抗うつ薬「選択的セロトニン再取り込み阻害薬」(SSRI)と「三環系抗うつ薬」の作用を調べました。
その結果、どちらの抗うつ薬も脳内のさまざまな経路に作用することが分かりましたが、今回初めて海馬内の「BMP」と呼ばれる信号伝達経路にも作用することが判明しました。
BMP経路の働きが高まっていると、うつ病になる可能性があり、今回試験した2種類の抗うつ薬は、BMPの働きを直接邪魔して、気分や記憶に関わる神経細胞を増やすよう働くと分かりました。
「BMP」という神経回路の働きが高まると、うつ病になる可能性が上がるかもしれないということです。
今現在の抗うつ薬でもBMPの働きを阻害しているけど、もしこの回路がうつの原因だと分かれば、この回路のみピンポイントに作用させて、副作用をグッと抑えられるということですね。
また、BMPだけを強く作用させる薬の開発もできそうです。
たんぱく質「ノギン」がうつ患者を救う?
では、どのようにしてBMPを阻害させるのか…阻害させる物質まで特定できたようです。
さらに、BMP経路を邪魔して神経細胞の生成を増やす働きを持っている「ノギン」というたんぱく質をうつ病のネズミに投与したところ、2種類の抗うつ薬より効果的にBMP経路を邪魔し、うつ症状と不安行動が大幅に低下させました。
研究グループは、海馬内のBMP信号伝達がうつ症状をコントロールしており、一部の抗うつ薬はBMP信号伝達を減少させる可能性があると報告しています。
もしこれが認められれば、「ノギン」を中心とした抗うつ薬が開発されそうです。
うつ研究は日々進歩していますね。
(これからの「うつ」の話をしよう:未来のうつ治療と支援のあり方)
おわりに
うつ病は苦しい病気です。
経験したから分かります。
(「うつ病を経験したことで得られた7つのこと」より)
7年以上、うつ病で苦しみました。
消えてしまいたいと何度も思いました。
(【まとめ】ぼくの鬱病の症状~こんな症状に苦しんでいました~)
しかし、諦めてはいけません。
うつ病は必ず良くなります。
時間はかかります。
(うつ病の症状に対応する5つの心構え:時間を味方につけるということ)
しかし、快方に向かう病気です。
ねばり強く、長い目で病気と向き合うことが大切です。
「今」できることに目をむけるのです。
「今」だから出来ることが必ずあるからです。
僕はそうやって「うつ」と付き合いました。
皆様の健康を願って本日も終了とします。
ありがとうございました。
<オススメ記事>
・『ツレと貂々、うつの先生に会いに行く』(細川貂々):「ツレうつ」シリーズ”細川貂々”さんと人気精神科医”大野裕”先生のコラボ本
青年A