うつ病が血液検査で診断できるかも?│試薬の販売が年内に行われる
2017/11/22
目次
うつの客観的検査・診断方法の開発
こんにちは、青年A(@seinen1234)です。
このサイトでよく話題にしていますが、うつ病には大きな課題が2つあります。
1.原因がはっきり分かっていないこと
(うつはこころの病気というよりカラダの病気だと思う)
2.(客観的な)検査・診断方法がまだないこと
(これからの「うつ」の話をしよう:未来のうつ治療と支援のあり方)
この大きな2つの課題に世界中が取り組んでいます。
しかしまだ答えは見つかっていません。
今回、課題2の客観的な検査・診断方法に希望を与える記事がありましたので、ご紹介します。
それは日本経済新聞で掲載された「血液でうつ病診断 HMT、研究用試薬を年内にも販売」という記事です。
この記事の僕なりの解釈をお話していきたいと思いますので、本日もよろしくお願い致します。
うつ病患者の血中物質の濃度を検査して診断する
尿や血液などの代謝物の解析を手がけるヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ(HMT)は、血中の化合物からうつ病の度合いを診断する研究用試薬の販売を年内にも始める。
血中の化合物からうつ病かどうかを診断するようです。
他の客観的な検査として期待・研究されているものを挙げておきます。
・「光トポグラフィー検査(NIRS)とは?:オススメできない7つの理由と精神疾患の検査法」
・「うつ病を声で診断できるかもしれない│うつの客観的検査を目指す」
・「小型脳波計がうつ病の客観的診断の道を開くかもしれない~スリープスコープ~」
どれもまだ精度が低く、実用的ではありません。
しかし今回、古典的な検査方法である「血液検査」によって、うつ病が検査・診断できるかもしれないというニュースです。
では血中の化合物とは具体的に何を指すのでしょうか?
その正体は、エタノールアミンリン酸(EAP)
うつ病患者で顕著に低下する血中の「エタノールアミンリン酸」と呼ばれる物質の濃度を調べる試薬を開発した。
症状の度合いが数値で分かるため、処方する薬の量を調整しやすくなる。
うつ病患者は「エタノールアミンリン酸」の減少がひときわ目立つようです。
そこに注目し、その濃度を検査することで、うつ病かどうかを診断するようです。
<例>
エタノールアミンリン酸が正常→うつ病ではない
エタノールアミンリン酸が減少→うつ病の可能性あり
「エタノールアミンリン酸」の減少がうつ病の原因なのか?
「エタノールアミンリン酸」の減少が原因でうつ病を発症するのか…
そのあたりはまだ分かりません。
エタノールアミンリン酸の減少がうつ病の「原因」なのか「結果」なのかは分かりませんが、減っていることは確認されているので、それを目安に検査・診断しましょうよ、という動きです。
(うつが原因で身体症状は結果~「結果」の治療にならないように~)
なぜヒューマン・メタボローム・テクノロジーズの検査が注目されたのか?
なぜ今回こんなにヒューマン・メタボローム・テクノロジーズの検査が注目されたのでしょうか?
それは、コストと時間を10分の1に抑えられる試薬を開発したからです。
これまでも大型の化学分析装置を使って濃度を測定できた。
今回の検査用試薬は従来装置に比べ、費用や時間を10分の1にできるという。
今までもエタノールアミンリン酸を分析することは出来ました。
しかし、分析には大型の解析装置が必要でコストと時間がかかりました。
今回の試薬はそのコストと時間を克服したのです。
いつから試薬利用が行われるのか?
2016年度を目途に行われるようです。
2016年11月11日に日経新聞で公表されたので、11月、12月で試薬が使われていくということですね。
2016年度内に複数の医療機関で試験利用を始める。19年度をめどに承認の取得もめざす。
おわりに
今回の血液検査によるうつ病判断は、うつ病の真の原因が分かった上での検査方法ではありません。
しかし、色々なことを試し、データが蓄積されるうちに、新の原因や客観的な検査手法が開発されるでしょう。
うつ病は本当に辛く、苦しい病気です。
7年以上うつを経験したから分かります。
(【闘病記】うつ病と顎関節症)
しかし症状に負けてはいけません。
(うつの症状の正体とは?:それは脳が生み出した「幻術」)
時間はかかりますが、必ず快方に向かう病気なのです。
心を穏やかにして「今」できることを続けましょう。
本日もありがとうございました。