【顎関節症の問診】マウスピース(スプリント)で正しい顎位や噛み合わせを作るのは絶対不可能
2017/10/19
マウスピース(スプリント)を使うとかえって悪化する
こんにちは、青年A(@seinen1234)です。
本日は顎関節症の権威「木野孔司」先生の問診ブログです。
僕が受診した頃の内容を忠実に書き下ろしました。
木野先生の顎関節症治療はTCH是正治療~顎関節症の治療方法!これで僕は治りました~に書いていますが、どんな治療かというと、上下の歯を離す習慣を身に付ける治療です。
マウスピース(スプリント)は使いません。
マウスピース(スプリント)をはめた時は体の調子が良いのですが、しだいに悪化します。
マウスピース(スプリント)を経験したことがあるのではないでしょうか?
では木野先生の問診ストーリーを紹介していきますので、よろしくお願い致します。
顎関節症の問診
木野先生
あれからどうですか?
貼り紙を見たとき、歯はついていますか?
(【顎関節症の問診】顎関節症の治療でマウスピースを使うと逆に緊張が強まるby木野孔司先生)
青年A
やはり貼り紙を見た時は、歯はついていなくて、眠りに入る前や寝た後に軽く歯が当たっていたという感覚はあります。
(TCH(歯列接触癖)とは?:顎関節症の最大の原因が発見された!)
木野先生
起床時に気が付くということですか?
青年A
起床時と睡眠時ですね。
仰向けに寝る時よりもうつ伏せで寝る時のが感じますが。
木野先生
仕事中とか何か作業しているときに、歯が触っていたりはしていますか?
青年A
ないですね。
当たっていないと思います。
貼り紙を見た時には少なくとも当たっていないですね。
今でちょうど2か月くらいですけど。
木野先生
そうですね。
左下の奥歯が知覚過敏があったでしょう。
これはどうですか?
青年A
まだあります。
なにせ身体症状がつらいですね。
(不定愁訴は「症状」であって「病名」ではない。~「症状」の治療になってませんか?~)
木野先生
そうすると、自覚的には体の症状は変化していないということですか?
青年A
そうですね。
木野先生
例えば夜起きた時に歯が当たっていたなという記憶はありますか?
青年A
ダルくなっていた時はあります。
昔、夜の食いしばりを防止するナイトガードを作ってもらった事があるんです。
(つづき先生という顎関節症の有名な方の門下生らしいです)
それを装着した時、ものすごく良くなった経験があるんです。
カラダが軽くなって。
木野先生
(ナイトガードを)入れた直後ですか?
青年A
いえ、1,2か月くらいです。
木野先生
だんだん良くなりました?
青年A
いえ、いきなり良くなりました。
木野先生
使い始めた直後は良かったんじゃないですか?
青年A
そうかもしれないです。
木野先生
それは、特別なスプリントだったから(良くなった)という話ではないんですよ。
どういう事かというと、マウスピースを口に入れて寝ると、噛んだ時の感覚が大きく変わるでしょう。
そうすると、脳が戸惑ってしまって、噛まないようにしようと歯を離すようになるんです。
歯を離すから、マウスピースを入れた当初は良くなるんです。
ただ、使い続けていると、その感覚に脳が慣れていくんです。
脳が慣れてしまえば、またマウスピースを噛んでしまうので、結果的には元に戻るんです。
なので、マウスピース(スプリント)の効果は最初に出るはずで、最初の数日で効かなかったらもう駄目なんです。
そういうものなんです。
青年A
巷には色んなマウスピース(スプリント)が出回っていますけど。
あれは噛み合わせを整えていたり顎の位置を正しくしたりするんですか?
木野先生
そういうふうに言う先生もいるんですけど、そんなの無理なんです。
絶対無理です。
だってね、下あごは筋肉によってつり下げられているので、痛みのあるほうの筋肉は収縮するはずなんです。
てことは顎を引っ張ってるんです。
引っ張った状態で噛んでるんですよね、噛み合わせ作ってるんですよ。
噛み合わせが悪いという「結果」を治しているんであって、「原因」にアプローチ出来ていないんです。
顎の位置を正しくするとかいって良くなるんであればですよ、顎関節の専門家はみんなやってますよ。
顎関節をある程度勉強した人間であれば、最初の頃はマウスピース(スプリント)を使ったとしても、そのまま使っている人なんていないんですよ。
ただ、丸山先生とかでもそうなんですけど、ある程度主張して自分の一派を作り上げた方々は、今まで教えてきた人間に対する責任もあるから、あれは間違いでしたって言いにくいんですよ。
だから結局いまだにずっとやってるんです。
(顎関節症にマウスピースを使ってはいけない!:4つの理由と正しい治療法)
青年A
なるほど。
木野先生
ですけど、丸山先生とこに行って80万円とか200万円とか使ったけど良くなりませんでしたって患者さんが東京医科歯科大学にいっぱい来られるんですよ。
(顎関節症の名医「木野孔司」先生の病院を紹介します!)
青年A
そうですか…
僕のような身体症状を訴える人もいますか?
木野先生
いますよ。
なので先ほどの話に戻りますと、青年Aさんの場合、夜間に歯と歯がくっついている可能性が高いと思うんです。
青年A
僕もそう思います。
木野先生
なのでそれをまず修正したいですね。
具体的には貼り紙を見たら繰り返し繰り返しやって、歯が離れている状態を長くすることによって、その状態に脳を慣らしていく事が大切です。
最初に来られた時、唇をつけて上下の歯を離すと違和感があると仰っていました。
それは、普段から長く上下の歯を接触させていると、脳がその状態に慣れてしまっているので、唇をつけた状態で歯を離そうとすると違和感があったわけです。
歯を離している状態に慣れることが大切です。
青年A
分かりました。
僕は歯がついていることが原因で身体症状や精神症状が出ているのか、心の病が原因でそういった症状が出ているのか、どちらなのでしょうか?
(噛み合わせの違和感をなくしたい!原因は「歯」ではないかもしれません)
木野先生
両方あるかもしれませんね。
うつ病の問題が強まってくると、うつの身体症状というのがあるんです。
疲れやすいとか首・肩こり、頭痛なんかが出やすくなるんです。
脳が勝手に信号を出してカラダを緊張させてしまうんですね。
それが続いてしまうんで、その症状としてそういった身体症状が出ることがあるんです。
うつ病の問題が大きければ、TCH是正訓練療法で歯を離せるようになっても身体症状は残る可能性はあります。
(TCH是正治療~顎関節症の治療方法!これで僕は治りました~)
青年A
なるほど。
木野先生
では触診をしますね。
……(触診中)……
歯をつけてるとつらくなりますか?
青年A
まだつらくならないですね。
木野先生
そうですか。
夜間だけではなく、日中の集中している時なんかに歯がくっついていると思うんです。
ただ、青年Aさんの顎関節周りの症状で、命が縮まるとか放置しておくと次の問題に発展していくといった恐れはないんです。
なので、気持ちを平らかにすることも大切ですね。
(「顔の脱力に慣れてくると、交感神経持続は不可能になりますから、今よりは楽になるでしょう」)
昔は一度出来上がった脳の神経回路は変えられないんだとか言われていましたけど、最近の脳科学はそうじゃないんだということが分かってきてるんです。
人間死ぬまで脳の神経回路っていうのは作り変えていくんだということです。
例えばある回路にしても、使わない状態でずっと時間が経つとだんだんその回路を形成していた神経がアポプトーシスといって「自死」していくんですね。
回路が消えていくんです。
そういった事も分かっていくんです。
なので、歯を離す習慣も焦っても仕方ないんです。
青年A
そうですね。
ありがとうございました。
おわりに
マウスピース(スプリント)を使って噛み合わせを整えれば不定愁訴が治るだとか自律神経失調症に効くだとかいった本やネット情報があふれています。
しかし、それは大きな間違いです。
一時的に良くなったとしても、また元に戻ったり悪化したりしませんでしたか?
その治療をしている医者は信頼できますか?
マウスピース(スプリント)を使ってカラダをリラックスさせようとするのですが、かえって緊張させてしまうという皮肉な事態に陥るのです。
マウスピース(スプリント)を装着した直後は良いのですが、しばらくすると寝ている時にマウスピースを噛んでしまって余計に緊張してしまうのです。
ずっと歯と歯を噛み合わせ続ければ、顎周りや全身の筋肉が緊張するのは当たり前ですよね。
それを夜間7時間とか8時間続ければ、だれだって体調不良になります。
このブログで何度も書いていますが、身体症状や精神症状を「顎関節症」や「噛み合わせ」のせいにしてはいけません。
マウスピース(スプリント)をやめ、心療内科・精神科を受診しましょう。
(うつ病の病院選びにお困りの方へ:うつ経験者が選び方を教えます!)
決して怖いところではなく、負のスパイラルを断ち切る最初の一歩となるでしょう。
お読みいただき、ありがとうございました。
青年A