うつ診断に光トポ検査は役立つか?(下):検査結果の絶対視は避けていただきたいと思います
2017/10/08
目次
うつ病の客観的診断方法が確立されることを僕は願う
こんにちは、青年A(@seinen1234)です。
今日の内容は、「うつ診断に光トポ検査は役立つか?(上):検査結果を鵜呑みにしてはいけない」の続きとなります。
精神疾患を鑑別できると期待された光トポグラフィー検査。
結論から言うと、その精度は「現場では使い物にならないレベル」であると分かりました。
2016年7月14日の「yomiDr.(ヨミドクター)」の記事”うつ診断に光トポ検査は役立つか?(下)”を参考にしています。
(インタビュアー「佐藤記者」、回答者(群馬大学精神科神経科教授)福田正人さん)
本日もよろしくお願い致します。
(先に「うつ診断に光トポ検査は役立つか?(上):検査結果を鵜呑みにしてはいけない」をお読みください)
光トポグラフィー検査の登場で、「精神疾患が分かる」みたいに受け止める患者もいるのでは?
光トポグラフィー検査(NIRS)とは?:オススメできない7つの理由と精神疾患の検査法でも書いていますが、光トポグラフィー検査の精度は低いので検査結果を信頼してはいけません。
佐藤:光トポグラフィー検査は、確定診断の補助手段と位置づけられています。
患者や家族の中には、行き過ぎた報道の影響もあり、「精神疾患が分かる」みたいに受け止めている人もいます。
この検査の限界について教えてください。
福田 :保険診療において「抑うつ状態の鑑別診断補助に使用するもの」と明記されているように、この検査は鑑別診断の補助という位置づけです。
光トポグラフィー検査は散乱光を用いて脳血流量を見ていますので、測定原理からその精度には限界があります。
超音波や心電図と似た位置づけの検査ですので、それだけで診断を確定できるわけではありません。
診断の基本は医師の臨床的な総合判断です。
補助検査の結果の絶対視は避けていただきたいと思います。
精神疾患の客観的診断方法の確立は患者やその家族の願いです。
ぼくも願っています。
しかし、光トポグラフィー検査でそれが分かるわけではありません。
もし受けたい方は、そのことを分かった上で受けるようにしてください。
(受けると混乱する可能性が高く、僕はオススメしません)
光トポグラフィー検査を使って高額な自費治療につなげる悪徳医院もあるから気をつけよ
精神科病院は町医者も含めて非常に多く、患者獲得競争が激しい分野です。
立地の良いと賃料が高く、多くの患者を集めなければなりません。
そのため、光トポを受けさせ、検査結果を数値や図で見せて患者を惑わし、高額な治療(うつ磁気刺激治療(TMS)など)を受けさせる悪徳医院もあります。
(光トポグラフィー検査(NIRS)とは?:オススメできない7つの理由と精神疾患の検査法)
うつ磁気刺激治療(TMS)自体を否定するつもりはありませんが、光トポを受診させる→うつ磁気刺激治療(TMS)を勧めるといったパターンが多いようです。
精神科の診断に対する不信感なども影響し、「医師よりも光トポグラフィーの結果を信じる患者が増えている」と複数の精神科医は嘆く。
こうした患者心理を背景に、光トポグラフィー検査を用いて高額な自費診療につなげる医療機関もある。
多額の治療費を払うほどの価値があるのかどうか、冷静に考えたほうが良いだろう。
本当にその通りだと思います。
うつ病をはじめとする精神疾患は、治るのに長い時間がかかります。
発症から時間が経っていれば、なおさら時間がかかります。
そういった状況から、なかなか治らない(と思っている)ことから治療を焦り、精神科医への不信感につながるのでしょう。
(うつ病の病院選びにお困りの方へ:うつ経験者が選び方を教えます!)
治療内容自体はどこの心療内科・精神科でも同じです。
その主治医を信頼できるかどうかが治療のカギをにぎります。
回復を焦ってはいけません。いずれ治るのですから。
光トポグラフィーを保険診療として行うのは明らかに時期尚早だった
こんなにも精度の欠ける光トポグラフィー検査がなぜ保険診療となったのか?
精神科医のとある人物と政治家が結びついたからだとか言われていますが、僕には真実は分かりません。
しかし、保険診療にするには早すぎたでしょう。
光トポグラフィーの研究は、今後も発展していく可能性がある。
だが、現時点ではあいまいさを多く残している。
これだけで診断を確定できる水準にはなく、使い方によっては誤診や不必要な治療の温床にもなることを、患者や家族も知っておく必要がある。
宮内さんは「精神疾患を客観的に診断しようとする試み自体は評価したい。
しかし、現時点で光トポグラフィーを保険診療として行うのは明らかに時期尚早だ。
本当に有用なのかどうかを今後も検証し、結果次第では、保険診療から外す判断も必要になる」と訴える。
光トポの結果を信じてはいけないということですね。
おわりに~病気について考えない時間をもつことの大切さ~
詳しくは【闘病記】うつ病と顎関節症でストーリーにしていますが、僕は7年以上うつ病に苦しみました。
ひとつのことにのめり込む完璧主義で、気になったことをずっと考えてしまう性格でした。
カラダのことが気になると、そればっかり考えてしまい、するべき仕事も手につきません。
考えても考えても答えが出ず、疲れるだけの負のスパイラルに陥っていました。
しかし、ある時思いました。
心に余裕を持つことが大切だと。
何事もバランスが大切なのです。
病気のことを考えても病気は治りません。
(「病は気から」~うつ病になりやすい性格をアンインストールする~)
特別な治療法はないのですから。
考えすぎて、調べすぎて、怪しげな治療法に手を出してはいけないのです。
うつはいずれ治ります。
やまない雨はないのです。
(やまない雨はない(倉嶋 厚)~うつ病は必ず治る、降りやまない雨はない~)
うつ病によって出来ないことがたくさんあるでしょう。
悔しい思いをされていらっしゃるかと思います。
僕がそうでした。
しかし、「できること」もあるはずです。
今できること…それに焦点を当てて生きていきませんか?
皆様の回復を願って本日も終了とします。
ありがとうございました。
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