『生きぞこない』(北嶋一郎)~自殺未遂,双極性障害発症…エリートビジネスマンの「どん底」脱出記~
2017/10/05
僕はいったい、どこで間違ってしまったんだろう。
(僕の所有本)
「きれいな歯をしていますね」
僕は人からよく、そんなふうに言われる。
でも、言ってしまおう。
僕の歯は入れ歯。
自分の歯は下の6本のみだ。
2009年9月12日、僕は自殺を図った。
意識不明のまま病院に搬送された僕の口は固く閉じられていたらしく、胃洗浄のチューブを通すためには歯を粉々に砕くしかなかったらしい。
(「はじめに」より)
こんにちは、青年A(@seinen1234)です。
今回は、エリートビジネスマンのどん底人生脱出記「生きぞこない …… エリートビジネスマンの「どん底」からの脱出記」をご紹介します。
まずはあらすじからお話していきます。
あらすじ
トヨタ自動車勤務の父親の転勤のため、10歳で渡米。
その後3年間を米国、ニュージャージ、デトロイト、ロサンゼルス、ハワイで過ごし、帰国。
大学卒業後、あこがれの外資系最大手IT企業「IBM」に入社。
バブル景気に後押しされ、入社1年目で年収1000万円。
持ち前の英語力もあってスピード出世。
部下600人を持つようになる。
超高級マンションの購入やベンツ、BMW・5シリーズ、ポルシェ・ケイマンと計16台を乗り散らす生活、銀座「和光」を貸し切り、500万円分の高級時計を購入するなど、栄華を極める。
しかし2004年、所属していた部署が中国企業「レノボ」に買収され、失望して退社。
年収1500万円で外資系半導体企業「インテル」へ転職するも、強烈な半導体不況のため半年で退社。
年収2000万円で国内大手IT企業「富士通」に再度転職するも、縛られたガチガチの日本企業の風土に合わず、7カ月で退社。
過去の肩書や年収に縛られ、また不況もあって、屈辱ながらハローワークで仕事を探すも全く見つからない。
マンション、クルマ、時計の借金の支払いが毎月180万円にものぼり、つくった借金は1億1千万円。
ドラッグストア、カレーうどん店でバイトをするが、プライドや羞恥心で長くは続かなかった。
「ここは自分のいる場所じゃない」と自分が何者かわからなくなっていくような感覚に襲われる。
双極性障害(躁うつ病)を発症。
「もうだめです。皆さんありがとうございました」
すべてを失い、学生の頃に流行った『完全自殺マニュアル』で自殺を図る。
自殺は失敗に終わり、自己破産を申請中。
何もかも失ったが唯一残ったのが「人」であり、そのつながりこそが人生を限りなく豊かにすると悟り、人生の再スタートを切る。
これからは違う生き方をしたい
会社で働いていたときは、自己主張の塊だった。
周りを大事にするのは、自分が上にいくための「戦略」にすぎなかった。
そして、破たんした。
出世やお金なんて、どうでもいい。
何もかも失って、残った唯一のものが「人」だった。
「戦略」としてではなく、「人と人」として接してきた頃の友人たち。
そのつながりが人生を豊かにする。
いつも通り、本書の一部を抜粋してご紹介します。
<はじめに>
大学を卒業してから17年間勤務した外資系最大手IT企業のI社は僕の憧れの会社だった。
僕の人生そのものだった。
友人よりも恋人よりも家族よりも、僕はI社のことを大事に思っていた。
それがある日、僕の統括する部署がまるごと中国企業に買収された。
I社に愛想を尽かして転職した外資系半導体企業のIN社、その次に移った国内大手IT企業のF社では、あっという間にリストラされた。
これらがたった2年の間に怒涛のように僕を襲った。
自己破産申請中の身であり、双極性障害で「障害者2級」と認定され、仕事もできず、ある女性に養ってもらって、なんとか生きている。
僕はいったい、どこで間違ってしまったんだろう。
本当は『700人の部下の心をつかんだ男が教える!出世するコミュニケーション術』なんていう本を出してもおかしくなかったのに。
年収だって、2000万円もらっていたのに。
この本では、僕がどんなふうに「会社」という迷路を生き抜いてきたのか余すところなく伝えたい。
そして数々の失敗の果てに、僕なりにつかみ得た「会社」というものの正体も伝えるつもりだ。
そのために、恥ずかしいことも、みっともないこともすべて書く。
僕みたいな目には、もう誰も遭ってほしくないから。
引用には記載しませんでしたが、モーレツ社員だった父親の話や海外での幼児期の体験、会社での仕事の内容がリアルに、これでもかというくらい詳しく書かれています。
また、「会社というものの正体」や「本当に大切なもの」についてはネタバレになってしまうので、本書の中で解き明かしていただければと思います。
あなたよりも酷い状況の人がいるということ
ぼく(青年A)はこの本をうつ病闘病中に知りました。
(僕の闘病記は「【闘病記】うつ病と顎関節症 」 一覧」をご参照ください)
うつ病による「意味もないイライラ」「将来が閉ざされた絶望感」「多汗」「体が鉛のように重いだるさ」「顔周りの筋肉の緊張」とった精神・身体症状に悩まされていました。
普通に働いてお金を稼ぎ、普通に自立するという、誰でもできる普通の事ができず、”自分はなんて役立たずで力もない無価値な人間なんだ”と感じていました。
そして”自分が世界で1番不幸な人間だ”と思い込んでいました。
街を歩く人たちはみんな幸せそうにみえたのです。
しかしこの本は、そんなぼくに衝撃を与えました。
だれもが羨むエリート生活を送ったのちに、大転落。
アルバイト生活…いや、それすら出来なくなった人間がいたんだと。
そして、そこから這い上がることが人間には出来ること。
”自分が一番不幸せな人間ではない”
”うつ病なんかに負けている場合じゃない”…
そんな勇気がもらえる一冊でした。
「うつ病を治す系」の本はたくさんありますが、一般人の、またここまでのジェットコースター人生を歩んだ人の体験記はそう多くはありません。
ツイッターも気軽にフォローしていいようなので、すぐにフォローしました(笑)
(北嶋一郎@生きぞこない @a_2_f)
・うつ病で苦しんでいる方
・自分はこんな人生を歩むはずじゃなかったと思っている方
・借金で身動きが取れなくなっている方
・出世コースから外れてしまい絶望している方
は、ぜひ本書をお読みいただくと良いかと思います。
考え方の幅が広がり、今より楽になることでしょう。
本日もありがとうございました!
P.S <双極性障害について>
双極性障害(躁うつ病)は「躁」と「うつ」の症状を繰り返す病気です。
「躁」
→気分の異常な高まりをみせるが、本人が気づくことは難しい。
エネルギーに満ち、自分は天才だと思う、1日中しゃべりまくる、落ち着きがなくなる、お金を使いまくるといった逸脱行為が目立つ症状。
「うつ」
→何をするのもおっくうで悲観的な考えばかりがうかぶ症状。
精神症状以外にも睡眠障害(不眠、過眠)、カラダのだるさ、その他自律神経症状引き起こす。
躁状態の程度によって、「双極Ⅰ型障害」と「双極Ⅱ型障害」に分別される。
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