「上司のための職場の「うつ」対策」~職場のメンタルヘルス対策にぴったりの本~
うつ病社員ゼロ計画
今回ご紹介する「事例で学ぶ上司のための職場の「うつ」対策」は、
「職場」という立場からうつ病と向き合う考え方・方法を解説してくださっています。
著者の清水隆司さんは、産業医として20年間、
職場の「うつ対策」「メンタルヘルス対策」に取り組んでおられる方です。
(参考:日本メディメンタル研究所)
「医の心は、思いやりの心」を信条に、人と人とのふれあいと心の健康づくり、
生活習慣改善による「心のケア」も重視したメンタルヘルスの普及に活躍しておられます。
(導入・セミナー実績:三菱UFJ投信株式会社、日揮触媒化成株式会社、
杉並区役所、熊本県庁、東京商工会議所 他多数)
この「事例で学ぶ上司のための職場の「うつ」対策」の本を読むと次のことが分かるようになります。
・メンタルヘルスとはそもそも何かが分かる
・社員のメンタルヘルスに気づくことができる
・職場のメンタル疾患を防ぐ対策ができる
・休職、復職のフォロー方法が具体的に学べる
うつ病に関する本は多数ありますが、
「職場のうつ対策」についてここまで詳細に書かれたものは
現時点で他にないでしょう。
今回はうつ病中の患者さまよりかは、
職場関係者の方に読んでおいていただきたいなーと思わせる本となっています。
簡単ではありますが、一部抜粋したものを掲載します。
【うつ病とはどんな病気なのか?】
・最近の脳科学の発達により、「うつ」はものを考えたり判断したりする前頭葉の血流が低下し、
その働きが障害されていることがわかってきました(左前頭前野:快の予測、右前頭前野:不快の予測)。・「うつ」で生じる、発汗や動悸、息切れ、めまい、頭痛などの症状は、
脳の中の扁桃体の働きの低下により生じた不安が間脳、視床を通じて
自律神経を乱すことから生じることもわかってきました。・つまり、「うつ」は脳の働きが低下した状態(身体の病気)ということになります。
【ネット上の口コミについて】
・ネット上の病院やクリニックの口コミは鵜呑みにされないように気をつけてください。・ネットには、声高に自分の感想を訴える人が書き込みますので、
医師の中での評価とネット上での口コミ、評判は比例しません。【カウンセリングが健康保険を使えない理由】
・カウンセラーが国家資格でないことが、1番の理由です。・臨床心理士や産業カウンセラーなど、様々な名称のカウンセラーが存在していますが、
すべて民間の団体が認定した資格になっています。・また、カウンセリングを医療行為として広く認めていいかということも議論になっています。
・カウンセリングの方法が多種多様にわたっており、
効果が一定でないのも認められない理由の1つです。【病院によって診断名が違う場合がある】
・主治医は、患者の治療をうまく進めるために、
患者との信頼関係を維持する目的から患者に受け入れやすい診断名を使うことが多々あります。・診断書の病名は、主治医によって変わってくる可能性の高いものなので、
それに振り回されないようにしなくてはいけません。【光トポグラフィー検査とは?】
・光トポグラフィー検査は額(前頭前野)を中心に左右対称にセンサーをつけて、
ある課題に取り組んでいる間の脳の表面の血流量の変化を測定するものです。・光トポグラフィー検査に限らず全ての検査には
「偽陽性」(本当はAという病気ではないのに、Aの病気であると結果を出してしまう)、
「偽陰性」(本当はAという病気なのに、Aという病気ではないという検査結果を出してしまう)
という性質があります。・ですので、光トポグラフィー検査結果が全てではなく、総合的に精神科医がみて
判断するべきであることを忘れないよう注意する必要があります。
いかがでしょうか?
そのほかにも
・未然に「うつ」を防ぐ仕組みはつくれないのか
・復職した人への対応の仕方
・職員を採用する際に、心の病気になりにくいかどうかを見分けることができるのか
・人事評価をメンタルヘルス対策として活用することはできるか
といった質問にも答えています。
職場で一冊置いて都度確認するといった使い方が良いのではと思います。
おわりに
ぼくは社会人1年目でうつ病が再発し退職しました。
しかし職場の対応には救われました。
東証一部上場の企業であったからか、人事労務関係の対応がスムーズで、また制度面以外に、なにより
「上司」「部長」の方の「うつへの理解」があり、励ましてくれたことが何よりの支えとなったのです。
「うつ」が理解されつつある社会といえ、まだまだ職場レベルで対策が十分でない企業も多くあります。
「うつ」は気の持ちようで何とかなるものではありません。
1社でも多く、うつ病に対する理解が深まり、より人間味あふれる温かい社会になればなーと思います。
本日もご清聴ありがとうございました。