自殺予防マニュアル~うつ病の早期発見・早期治療のために~
2017/11/07
目次
うつの自殺を防ぐ具体的な方法が書かれた良書!
こんにちは、青年A(@seinen1234)です。
本日はこの本をご紹介します。
「自殺予防マニュアル―地域医療を担う医師へのうつ状態・うつ病の早期発見と早期治療のために」
(記事「「うつの自殺は絶対あかん」~してはいけない4つの理由~」も参考にしてください)
本書を読むと4つのことが分かります。
・自殺の現状と危険因子
・うつ病の理解と鑑別方法
・うつ病の治療法 (薬の説明分かりやすい)
・自殺未遂の対応と予防法
最後に参考資料まで載せてくださっていてい親切さが伝わってきます。
精神医学の世界で非常に有名な5人の先生が執筆に携わっています。
・横倉義武先生・西島英利先生・神庭重信先生・中村純先生・高橋祥友先生
以下、本書より抜粋したものをご紹介します。
よろしくお願い致します。
自殺予防マニュアル―地域医療を担う医師へのうつ状態・うつ病の早期発見と早期治療のために
【自殺の現状】
・自殺者数は交通事故死者数の6倍を超えていて、40~50歳代の働き盛りの世代が34%となっています(2012年時点)
・さらに、自殺未遂者は少なく見積もっても既遂者の10倍は存在すると推定されています。
・また、既遂自殺や未遂自殺が1件生じると、強い絆のあった人の最低5人は深刻な心理的影響を受けると考えられています。
・したがって、自殺は死にゆく人約3万人だけの問題ではなく、わが国だけでも毎年百数十万人を巻き込む深刻な問題になっているのです。
・わが国だけでも年間約3万人、世界中では約100万人が自殺で命を失っていて、自殺は世界的にも深刻な問題であるのです。
【自殺予防は医療者全体の問題】
・自殺予防というと精神科独自の問題と考えられがちですが、実際は医療従事者全体に深く関わる問題です。・自殺した人の半数以上は、自殺を実行する1ヶ月以内に何らかの身体症状を訴えて、精神科以外の医療機関を受診しているという報告があります。
・うつ病患者が最初から精神科に受診するのは6%に過ぎないのです。
・大多数は、さまざまな身体症状を訴えて、精神科以外の科を受診しています。
・アメリカなどでは、精神科を専門としない医師であっても、うつ病をはじめとする精神疾患を正しく診断し、適切な治療や紹介を行うことが求められています。
・うつ病の生涯有病率は、女性で10~25%、男性で5~12%です。
・うつ病はけっして稀な病気ではありません。
・そのうえ、重症の身体疾患の患者にうつ病が合併する率は20~25%とさらに高くなります。
・もともと身体的な問題で治療を受けていた患者が、その問題のために抑うつ的になることもしばしばあるのです。
【自殺の危険因子】
・自殺した人の大多数は最後の行動に及ぶ前に、気分障害(主としてうつ病)、物質関連障害(主としてアルコール依存症)、統合失調症、パーソナリティ障害などの診断に該当していたという報告が数多くあります。・しかし、そのほとんどは適切な治療を受けることなく、自殺に至っています。
【「自殺したい」と打ち明けられたら】
・患者から「もう死んでしまいたい」「自殺したい」などと打ち明けられた場面を想像してみてください。・その時の対応として、まず忘れてはならないのは、誰でもよいから、たまたまある医療者に「自殺したい」と打ち明けたのではけっしてないという点です。
・これまでの関係から「この人ならば、私の絶望的な気持ちをきっと真剣に聞いてくれるはずだ」との思いから、意識的、無意識的に特定の人物を選び出しています。
・したがって、絶望的なまでの救いを求める叫びを真正面から受け止めてください。
・もちろん、「自殺」を訴える人に冷静に対応することは簡単なことではありません。
・話をそらしたり、叱ったり、社会的な価値を押しつけようとしたり、性急に助言しようとしがちです。
・「死ぬ気があるなら何でもできる」「家族のことも考えなさい」「命を粗末にしては駄目だ」などと色々な言葉が浮かんでくるでしょう。
・しかし、このような言葉は禁物です。
・重要なのは徹底的に聞き役に回ることなのです。
・十分に時間をかけて、相手の訴えに耳を傾け、そのうえで助言をしても遅くはないし、そうしなければ相手も聞く耳を持ちません。
(具体的な対応方法は本書に書かれています)・身体疾患や薬物、アルコールなどの物質と関係がなく発症する大部分のうつ病(一次性うつ病)については、推定される原因に従って分類しようとする試みが古くから行われてきました。
・明らかな原因が見当たらず発症するうつ病を従来診断では‘内因性うつ病’と呼んできました。
・内因性うつ病になりやすい人は、几帳面で責任感が強く、相手に気に入られたいと知らず知らずのうちに無理をしてしまう性格は、執着性格とかメランコリー新和型と呼ばれています。
・‘反応性うつ病’と呼ばれたうつ病は、死別体験のように誰にでも悲哀の気持ちを生むような体験が特定の人において、通常以上に強く長引く反応を引き起こす場合をさしました。
・「葛藤を生む体験が抑うつ症状を現した」とみなされるならば、抑うつ神経症’と診断されました。
(単に軽いうつ病をさして用いられたりもしました)・かつては、うつ病は、先に述べたような、発症の経過から推定される原因によって分類されていました。
・最近の分類では、推定される原因で安易に分類することをやめ、診断の一致度を高めることを重視するようになりました。
・米国精神医学会(DSMーⅢ)は、「大うつ病性障害」という新たな名称と診断カテゴリーを導入し、過去の混乱を一掃しようとしたのです。
・「大うつ病性障害」は、症状の数とその持続期間を基準に診断します。
・現在この分類がWHOのICD-10と並んで国際的なスタンダードとなっています。
【病気と正常範囲の「抑うつ状態」とはどのように区別するのか】
・症状が重く、かつ症状のために障害が生じている場合に、病気と判断します。
・精神症状の重さはその症状の数と持続期間とで評価します。
おわりに~自殺した人の約7割に何らかの精神疾患を有していた~
日本では毎年3万人の方が自殺しています。
その7割に精神疾患が認められたという報告があります。
本書でも述べられていますが、「うつは治る病気」です。
それなのに毎年3万人の方が自ら命を絶っているのです。
心が締め付けられる思いになります。
どんな思いでどうして死ななければならなかったのか…
「「うつの自殺は絶対あかん」~してはいけない4つの理由~」で書きましたが、「死にたい」のではなく、「症状の苦痛から逃れたい」ために死を選ぶのです。
また、自身が「うつ」と分からず、適切な治療を受けずに亡くなった方も相当数存在します。
本書はそんな現状に警笛を鳴らすべく、うつに対する偏見をなくし、こころの健康問題についての正しい知識の普及、啓発を進めるべく発行されました。
1人でも精神疾患で苦しむ人が少なくなる世の中を願い、本日の記事を終了させていただきます。
本日もありがとうございました。
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