うつ病の診断で光トポグラフィー検査は危険!┃患者をだます例が多発
2017/02/03
目次
光トポでうつ病は判断できない
こんにちは、青年A(@seinen1234)です。
このブログ「うつ、顎関節症を治そう」で何度もお伝えしていますが、
うつ病の診断に光トポグラフィー検査を使うのは危険です。
・光トポグラフィー検査(NIRS)とは?:オススメできない7つの理由と精神疾患の検査法
・日本うつ病学会が光トポグラフィー検査について異例のコメント│検査結果に惑わされないで!
・うつ診断に光トポ検査は役立つか?(上):検査結果を鵜呑みにしてはいけない
・うつ診断に光トポ検査は役立つか?(下):検査結果の絶対視は避けていただきたいと思います
客観的(だと勘違いする)診断結果のグラフを見せられ、それを信じ込んでしまう恐れがあるからです。
そして例えば、あなたは鬱病ではなく双極性障害(躁鬱病)ですなどと言われ、治療を変更させられたり、高額な自費治療を勧められたりして負のスパイラルに陥るのです。
今回は医療・介護のCBnewsから、うつの光トポグラフィーについての内容を一部抜粋してご紹介します。
光トポだけで病名を伝えるのはいけない
日本うつ病学会は、脳外科手術の検査などで使われている「光トポグラフィー検査」に関する声明を出した。
2014年から「抑うつ症状の鑑別診断の補助」に適用が拡大されたが、この検査だけで双極性障害、うつ病といった病名を伝えることを問題視。
この検査結果は「診断を行うに当たっての判断材料の1つに過ぎない」として適切な臨床評価に基づいて診断するよう求めている。
今現在、うつ病を客観的に判断できる検査機器はありません。
これは事実です。
うつ病の原因は脳内の何らかの異常ですが、真の原因がまだ分かっていないのです。
セロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンといった神経伝達物質の増減が原因ではないかという仮説のもと「抗うつ薬」が作られており、一定の効果を発揮しています。
しかし、
・効果が現れるのに2週間以上かかること
・すぐに治らないこと
などから、他の原因が考えられているのです。
抗うつ薬を服用すれば、すぐに脳内の神経伝達物質の濃度が調整されます。
それなのにすぐに回復しません。
近年の研究で、神経細胞の機能を回復・成長させるBDNF(脳由来神経栄養因子)が原因ではと考えられたりしていますが、まだはっきりとは分かっていません。
(「躁うつ病に挑む」(加藤 忠史)~うつの原因は脳由来神経栄養因子(BDNF)?~)
しかし、いずれは解明されるでしょう。
全ての物事には「原因」があるから「結果」が生まれるのです。
うつの特効薬が早く生まれることを祈るばかりです。
(これからの「うつ」の話をしよう:未来のうつ治療と支援のあり方)
光トポグラフィー検査は脳内の血流変化を測定する検査器具
(画像引用元:うつ病を客観的に診断するための足がかり)
「光トポグラフィー検査」は、頭に近赤外光を照射・検出する専用のキャップ(装置)をかぶり、脳血流量変化を測定して脳機能を波形で表示するもので、主に脳外科手術の術前検査で使われてきた。
「抑うつ症状の鑑別診断の補助」に適用が拡大されてからは、精神科の病院やクリニックで、この検査を導入する動きが広がっている。
うつ患者は藁にもすがる思いで病院を受診します。
そして問診、触診を受けて診断が下されるのですが、診断結果を言われても、その病名を信じない患者が少なくありません。
病気が目に見えないことが原因でしょう。
また、うつ病なのか双極性障害なのか、またはそれ以外の病気なのかも分かりずらく、医師をとっかえひっかえ替えてしまうドクターショッピングをする人も多いです。
それだけ医師の診断結果が信用されにくい病気でもあるのです。
だから、患者は客観的な診断を求めます。
検査機器を頭につけ、グラフ付きの診断書を見せつけられると信用してしまいますよね?
光トポグラフィー検査の機器は高くなく、それを導入することで患者を信用させ、(言葉は悪いですが)薬漬けにしたりする悪徳な精神科医がいることも残念ながら事実なのです。
(うつ病の病院選びにお困りの方へ:うつ経験者が選び方を教えます!)
光トポの精度には限界がある
超音波や心電図と同じように精度には限界があるため、「あくまで診断を補助する検査」と患者に説明する医療機関がある一方、保険診療の施設基準を満たしていない医療機関が、うつ病の症状の「見える化」ができるとして自費での検査を勧めるケースもある。
先ほどお伝えした通りの内容です。
光トポの精度はまだまだ低く、診断補助ツールでしかありません。
それを「うつが見えるようになった」と大々的に広告して患者を集客している悪徳医院があるのです。
現在はうつの診断ガイドラインに沿って診察をすることが原則
また、精神疾患に関しては、検査の結果を参考にしながらも適切な臨床評価に基づき、米国精神医学会の「精神疾患の診断・統計マニュアル」(DSM‐5)などに従って診断を行うことが原則とされているため、「光トポグラフィー検査の結果のみに基づいて診断を行うことは、医療の原則に反する」としている。
「大うつ病性障害・双極性障害治療ガイドライン~”うつ”のすべてがここにある~」で記事にしていますが、現在のうつ診断は問診と触診が原則です。
そのためのツールがガイドラインです。
このガイドラインと精神科医の経験をもって、病名をはっきりさせて治療に進んでいくのです。
悪徳な医院がある一方で、親切丁寧で話を聞いてくれ、心にしみるアドバイスをくれる精神科医もいるのです。
(左診療所~親切親身になってくださった精神科・心療内科~)
おわりに
うつ病は辛い病気です。
全然治ってないじゃないかと思ってしまうこともあるでしょう。
1日1日で見ると治っていない気がします。
しかし、3か月くらいの単位で見るとどうでしょうか?
3か月前に比べて少し前進していませんか?
うつ病は長期戦のマラソンのようなものです。
焦ったりせずペースを保ちながら病気と向き合っていくことが必要です。
うつでもやれることはあるはずです。
出来ることに目を向けましょう。
本日もありがとうございました。