遺族外来(大西秀樹):死別で苦しむ人を救う外来
2017/10/02
遺族外来
こんにちは、青年A(@seinen1234)です。
本日は、遺族外来に関するおすすめ本『遺族外来: 大切な人を失っても』をご紹介します。
遺族外来については以前「15%がうつ、がん遺族の心の治療は遺族外来へ:どんな悲しみであっても、人間には適応力がある」で記事にしました。
どんな診察科かと言いますと、「遺族の心のケアと話に耳を傾ける」診察科です。
死別は人生で1番大きなストレスと言われています。
心に大きな傷を残します。
しかし、その遺族をケアする医療体制が整っていないのが現実です。
その問題に目を向け、遺族外来という形で遺族を助けているのが遺族外来です。
今回は遺族外来の創設者「大西秀樹」さんの著書をご紹介します。
・病気で家族を失った方
・突然死で愛する子どもを失った方
・死を受け入れられずに苦しんでいる方
にはぴったりの本だと思います。
皆さまの参考になれば幸いです。
よろしくお願い致します。
愛する人が、いない世界
愛する人の死。
人生をともにした人はいなくなり、もう会うことはできない。
楽しかった日々は戻ってこない。
辛くて心が張り裂けそうになる。
死別は人生最大のストレスです。
僕はまだ26歳で、死別はおじいちゃんとおばあちゃんしか経験していません。
2人が亡くなったのが小学校低学年だったので、記憶も薄いのが正直なところです。
想像してみました。
妹やお父さん、お母さんがいない世界を。
とてもじゃないが、耐えられません。
・明るい家族でなくなるのかな、とか
・ご飯は誰が作るのかな、とか
考えただけでゾッとします。
死別は人生最大のストレスのようです。
経験した方はその意味がよくお分かりかと思いますし、まだ経験していない僕にとっては知識となりました。
最大のストレスと分かっていれば、死別時の反応をすんなりと受け入れられる事でしょう。
死別経験でうつ病リスクが高まる
死別後はうつ病になりやすいことが知られています。
精神的に安定していた患者さんがうつ病を発症し、その原因を探ってゆくと親しい人との死別を経験していたということが少なからずありました。
長年連れ添った妻を失った夫が後を追うように早死することがあるようです。
また死別のストレスでうつ病を発症する人も少なくありません。
僕の知り合いにもそういう方がいらっしゃいました。
うつ病については僕自身7年ほど経験して闘病記や治療法を書いていますので、またご覧ください。
遺族に言ってはいけない言葉
「がんばってね」
愛する人を失って悲嘆に暮れている人に、これ以上何をがんばれというのでしょうか。
「あなたがしっかりしないとだめ」
愛する人を失って心も身体もどん底の人に「しっかりしろ」などと言っても何の役にも立たないばかりか、逆に落ち込む原因をつくるだけです。
「元気?」
死別後少し時間がたったころに出てくる質問で「元気です」との返事を暗に期待しています。
この質問は元気か元気でないか二者択一の答えを求めており、これ以上の発展性がないため「閉じた質問」と呼ばれています。
「元気そうね」
死別から半年~1年ぐらいの遺族が言われて傷つく言葉の1つです。
遺族外来に来る人でこの時期に元気になっている人はほとんどいません。
「あなたの気持ちは分かります」
相手に対して共感の気持ちを出していますが、多くの遺族が嫌がる言葉の1つです。
悲しみは遺族本人が1番感じています。
そんな中「私には分かる」と言われても何の慰めにもならないのです。
本書『遺族外来: 大切な人を失っても』ではこれ以外の言葉も紹介されています。
多くの遺族のアンケートや話から分かってきた言葉ばかりです。
普段よく使うだけに遺族には慎重に言葉を選ばなければなりません。
発言者本人に悪気はなくても相手を傷つけることはあるのです。
(アサーションを知ろう~I’m OK, You’re OK!な表現技法~)
新しい世界に適応する力が、僕たちにはある
遺族外来に通う方々の診察を通じて確信したことがあります。
私たち人間には新しい世界に適応する力が内在しているのです。
本書に出てくる方々の生きる姿を通して、それを感じてもらえれば幸いです。
人生は楽しいことだけではありません。
苦しいことが同じかそれ以上にやってきます。
その事は僕なんかより皆さまのほうがよっぽど知ってらっしゃる事でしょう。
しかし、苦しみがいつまでも続くわけではありません。
苦しみには必ず終わりがあります。
(やまない雨はない(倉嶋 厚)~うつ病は必ず治る、降りやまない雨はない~)
時間が苦しみの解決の手助けをしてくれるのです。
(うつ病の症状に対応する5つの心構え:時間を味方につけるということ)
おわりに
遺族に対する接し方や遺族の方の苦しみを和らげてくれる本です。
本書にはガンで愛する人を失った人の事例などもたくさん載っています。
共感できる点がたくさんあって、「他の人も同じ悩みを持っているんだな」と感じるかもしれません。
ありがとうございました。
青年A