電通新入社員自殺、「死ぬくらいなら辞めればよかった」が絶対に誤りである理由。│「うつ」の自殺
2017/10/16
モーレツ社員が否定される世の中に
こんにちは、青年A(@seinen1234)です。
今日はBLOGOSの記事「電通新入社員自殺、「死ぬくらいなら辞めればよかった」が絶対に誤りである理由。」を基に、僕の意見を書いていきたいと思います。
先日、電通1年目の社員が過労で自殺をしてしまう悲劇がありました。
亡くなったのは、入社1年目だった高橋まつりさん。
労基署が認定した高橋さんの1カ月(10月9日~11月7日)の時間外労働は約105時間にのぼった。
「仕事量が著しく増加し、時間外労働も大幅に増える状況になった」と認定し、心理的負荷による精神障害で過労自殺に至ったと結論付けた。
(朝日新聞デジタル「電通の女性新入社員自殺、労災と認定 残業月105時間」 2016/10/07)
奇しくも本邦初の「過労死白書」が公表されたばかりである。
先には首相自らが「モーレツ社員が否定される世の中に」と公言した最中の報道となった。
僕も社会人1年目にうつ病を再発し、休職&退職しました。
東京の大手人材サービス会社で法人営業をしていました。
時間外労働時間は60時間かつ数字のプレッシャーが半端じゃなかったことを今でも覚えています。
(【闘病記】うつ病と顎関節症)
高橋さんは時間外労働が105時間。。
異常です。
労働時間だけなら何とかなったりするのですが、達成しなければならない数字の(心理的)プレッシャーが大きかったのではと思うのです。
電通といえばテレビ関連の大きな仕事を請け負っている会社です。
仕事量・プレッシャーともに膨大なものであったのでしょう。
「自殺するくらいなら、会社を辞めればよかった」は、健康な人の考え。
電通社員の自殺問題はテレビやニュースで大々的に取り上げられたので、知っていらっしゃる方も多いと思います。
この件に関して、自殺するぐらい追い詰められたなら会社を辞めれば良かったのでは?という意見が多数ありました。
本件についてはさまざまな議論がなされているが、「自殺するくらいなら、その前に会社を辞めればよかった」という意見が多数みられた。
しかし、産業カウンセラーの後藤和也さんは否定します。
「そりゃあそうかもしれないですが、心を病んでる人にそんな冷静な判断できると思いますか?」
一般に、うつ病等の精神疾患の当時者は、病識にかけると言われる。
病識とは「自分は病気である」と自覚できる状態のことだ。
周囲の人間から見て明らかに正常な状態でないのに、当の本人が頑として専門医の受診を拒否する場合などは、病識の欠如が原因であることが多い。
一方、疾患により冷静な判断力や普段のパフォーマンスが平常時に比べ著しく低下するため、仕事の能率はかなりダウンし、私生活にも支障をきたすことになる。
本当におっしゃる通りです。
うつ病を経験したからよく分かります。
うつ病になると、物事を冷静に判断できません。
(認知再構成法(コラム法)のやり方~あなたのその考えはほんとうに正しいのか?~)
頭がぼーっとし、本来の思考力が失われてしまうのです。
この感覚は、うつ病にならないと分からないと思います。
そして多くは「急に」うつ症状を発症するのではなく、気が付くとおかしなことになっているのです。
少しずつ少しずつ壊れていくため、本人に病気という意識がないことも多いのです。
内科に行っても異常なしで、「気の持ちようなのではないか」と考えてしまったりするのです。
僕もずっと自分がうつ病だなんて思いもしませんでした。
顎関節症か他の病気だと思っていたのです。
(うつ病と顎関節症はなぜ間違いやすいのか~うつが「原因」で顎関節症は「結果」~)
初めてのうつ病が高校3年生の時でした。
その頃は、まさか自分がうつ病だと思わなかったのです。
いや、うつ病という言葉すら知りませんでした。
体と心の異変に気づき、最初に心療内科・精神科を訪れる人は少ないと言います。
それほど間違われやすく、すぐに受診されないのが現状なのです。
仕事は簡単に辞められない
苦しい症状は続きます。
(【まとめ】ぼくの鬱病の症状~こんな症状に苦しんでいました~)
しかし、簡単に会社を辞められません。
働かないとお金が入らないし、小中高大と存在した社会のレールから外れるのが怖いんです。
特に新入社員はそうでしょう。
大変な就活を乗り越え、電通という超大手企業に就職できたのです。
家族や親戚、友人から期待されて就職したのでしょう。
またこれほどの大手に就職できるということは大学までの経歴もエリートで「投げ出す」ということをしたことがなかったのかもしれません。
そんな熾烈な戦いを勝ち抜いて得た自分の仕事を、簡単に投げ出していいのだろうか。
まじめな人ほど、そんな心境に陥っても不思議ではない。
「夢はあきらめるな」「目の前の壁から逃げ出してはダメ」。
周りの大人たちからはそう言われてきた。
一方で目の前には山のような仕事があり、効率よくこなせと理不尽な指示を受ける。
逃げ出したいが逃げてはいけない気がする、そんなアンビバレントな感情を抱えたまま過剰な労働に従事しては、心身の健康を害するのは時間の問題だ。
僕も新卒入社の会社を1年半で辞めてしまいました。。
本当に苦しかったです。
期待されて入社したのです。
それなのに売れない、売れない。
どん底の状態での「うつ」の再発。
「うつ」で心身がボロボロになりながらも、会社にしがみつこうとしました。
「1年ちょっとで辞めたら、次就職できない」
「心の病で辞めたら、履歴書的にも再就職できない」
(うつはこころの病気というよりカラダの病気だと思う)
そんな不安に苛まれたからです。
普通に考えたら、日本だけで420万社以上あるので、どことなく就職できると思うでしょう。
その通りです。
しかし恐縮ながら、高校、大学とそれなりのところに通い、就職も東証一部上場の会社です。
小さい会社への再就職という選択肢が思いつかなかったのです。
(「うつ病」で頭が回らないこともあり)
またうつ症状が酷すぎて自分の人生は終わりだとも思いました。
(うつ病からの回復は「家族」にかかってる│「うつ」と家族の接し方2)
働きすぎな日本社会
本件については上司からのパワハラ的な発言もあったと報道されている。
本稿で言いたいことは、「死ぬ前に辞めればよかった」という意見は、つまるところ問題の責任を当事者個人に押し付けるものであり大変危険だ、ということだ。
報道によれば、亡くなった社員のパフォーマンスが落ちていることは上司が把握していたようだ。
そこで必要なことは、叱責ではなく適切なフォローではなかったか。「早く帰れ」と言われても、新入社員に大量の仕事を迅速にさばく勘所は、十分にはわかるまい。
時間外労働の多さという肉体的プレッシャーとパワハラという精神的プレッシャーが重なったのです。
達成しなければ!という真面目な方だったのでしょう。
働きすぎです。
電通に限ったことではありません。
もっと、自由に生きましょうよ。
一日の大半を会社で過ごすなんて、100年後の未来から見たら「おかしな時代だったんだな~」と思われてるかもしれませんよ。
これは自殺ではなく、「殺人」のような気がします。
おわりに
企業間の競争は激化し、各社員の精神的プレッシャーは日に日に増しています。
まずは、労働時間の見直しをしてもらいたいです。
全ての会社で、です。
裁量労働制というありえない制度はなくすべきではないでしょうか?
高橋さんのご冥福をお祈りして本日も終了とします。
ありがとうございました。
青年A