『ビッグツリー~自閉症の子、うつ病の妻を守り抜いて~』(佐々木 常夫)~東レ取締役の壮絶体験記~
2017/09/30
目次
いつも私の生き方を支えてきたのは「いつかは必ず良い日が来る」という私の楽観的人生観だった。
こんにちは、青年A(@seinen1234)です。
これまた超絶な良書をご紹介します。
それは『【新版】ビッグツリー~自閉症の子、うつ病の妻を守り抜いて~』です。
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・自閉症の息子「俊介」と肝硬変+うつ病の妻「浩子」の看病の記録
・6度の転勤と週末に新幹線で家族の元へ往復する多忙生活
・長女「美穂子」と妻「浩子」の自殺未遂
・同期トップで取締役に就任、激務の日々と経済的負担
・不幸なだけではない幸福~長い夢から覚めたように~
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本書『【新版】ビッグツリー~自閉症の子、うつ病の妻を守り抜いて~』は、自閉症の息子「俊介」と肝硬変+うつ病の妻「浩子」の看病を中心とした家族の日記です。
常夫(著者)、浩子、俊介、啓介、美穂子の5人家族で、平穏で温かい家庭になるはずだったのが、俊介の自閉症と浩子の病気で家庭崩壊の危機に直面しますが、そこから脱出していく実話のストーリーです。
ぼくなりのあらすじと感想を書きたいと思います。
神様は私に試練を与えたというか、ちょっといたずらをされたようだ。
「いつか必ず良い日が来る」
そう信じて朝5時半から子どもの朝ごはんと弁当をつくり、週末にまとめて掃除や洗濯をしていた。
作者が仕事と家事で忙しそうにしているのを見て、食事作りを手伝うようになった美穂子ちゃんの愛情と優しさが感じられるシーンでは心がほっこりと温まる。
(著者は美穂子を「戦友」と言って頼りにしていた)
しかし浩子は入退院ばかりで妻、母親としての責任を果たせない悔しさと惨めさで、しだいに心の調子を崩していく。
自宅で暴れる俊介、それをどうすることもできない浩子、ストレスがたまっていく美穂子…
苦悩に耐えきれなくなったからだろうか…美穂子は飛び降り自殺をはかる。
(命に別状はなかった)
うつに襲われはじめた浩子は、何度も電話してきたり、急に泣き出したりする奇行が目立ち始める。
そしてついにお腹を切って自殺をはかってしまった。
(未遂に終わったが、その後も手首を切って二度目の自殺未遂をはかる)
その頃、作者は東レ同期トップで取締役に就任。
経営企画室長兼繊維本部を担当していたため、ともかく多くの全社会議に出席しなければならず、毎日が緊張緊張の連続だった。
美穂子の大手術もあって、何のために結婚したのか、何のためにこんなに苦労をしているのか、これはいったい何なのだ、私の人生はどうなっているんだ、とほとんど自暴自棄の気持ちになったという。
加えて入院費や家賃、生活費も入れて、自閉症の俊介、病気の浩子の2人だけで毎年350万円から400万円かかったようだ。
しかし、自分が出会った人生であり、自分が選んだ人生なのだ。
それなのにこんなに惨めになるなんて、それは私の生き方ではない。
私はいつも、「必ず良い日が来る」という前向きな姿勢を持っていたはずだ。
いや、絶対良い日は、笑い合える日は必ず来る。
心細い心境になりながら、私はそう信じていたかった。
こんな悲惨な状況でも前向きに、希望を失うことがない著者にぼくは感服した。
そして著者の希望通り、ほんとに「笑い合える日」が訪れることとなる。
著者は2003年、東レ経営研究所社長の辞令を受けた。
そのことで仕事のスケジュールの融通をつけやすくなり、家族が危ないと思えばいつでも帰ることができるようになった。
そして、しだいに浩子の体調も回復に向かっていった。
この年の12月の入院を最後に、今日まで2年半、浩子は病院のベッドにお世話になることがない生活が続いている。
そしてこの壮絶な体験を『ビッグツリー』と題して出版することも決まる。
出版パーティーで妻の浩子が
「今度の本を出版するという時、私はその本の題名を「ごめんなお父さん」としようと言ったのですが、WAVE出版の玉越さんから、それは2作目に貴女が書きなさいと言われました。」
というユーモア溢れるスピーチで、場内は割れんばかりの拍手と爆笑の渦だったという。
このことからも浩子の回復ぶりがうかがえる。
10年ぶりに家族に平穏な時が流れるようになり、久方ぶりに浩子が手料理を作ったりするようになる。
俊介・浩子の病気が、結果的に家族の絆をよりいっそう深める形で本書は締めくくられたのだった。
不測の事態が起きても、「これも人生の一部」と受け入れること
そのことを『ビッグツリー』も教えてくれました。
次の言葉も印象的です。
私の話を聞いて、よくそんな大変な生活を乗り切ってきたものだと感心する方もいるが、私はそうは思わない。
人の不幸の程度は体重や血圧のように測定することはできないし、他人から見たら小さな不幸であっても、その人にとっては大変な重荷であることもあろうし、私の不幸もそれなりの重荷なのだと考えている。
”自分の境遇を嘆くのではなく、今の境遇で出来ることはなにかを考える”
そう考えて家族を支えてきた著者はほんと尊敬するし、ぼくもそんな器のでっかい男になりたいと思いました。
・看病に疲れ切ってしまった人
・自分がこの世でもっとも不幸だと思ってしまっている人
・仕事がうまくいっていないビジネスマン
・うつ病、自閉症の本人とその家族
・妻や子どもとうまく接したいと思っている旦那さん
に特に読んでほしいな~って思います。
読んだ人の感想(Amazonより)
<ビッグツリー 私は仕事も家族も決してあきらめない>
大変感動される男のドラマです。
ワークライフバランスを重視する今でこそ、非常に勇気づけられます。
無数の友人にも薦めましたが、異国からの便りを一部掲載し、佐々木さんのおっしゃるとおり、周りにいろいろ悩みを持っている方が意外にこんなに多いことに共感しました。
「早速少し拝読しました。
佐々木さんほどではないにしろ、障害を抱える子供を2人も持ち、絶望感にさいなまれることもしばしばある私にとって、勇気と希望を得られるのではないかと期待しながら読ませていただきます。
佐々木さんが冒頭で、神様によって与えられた試練、神様のちょっとしたいたずら、、、と書かれていますが、私も私なりにそのようなことを子供を持ってからずっと感じていました。
子供の問題というのは、自分のこと以上につらいことなので。
「神様は私になかなか大変は試練を与えられた。
どうしてか、お前ならああいう子供達を育てられるのではないか、やってみろ」とでも言わんばかりの試練です。
本当につらいものです。
私は、佐々木さんよりも試練の度合いも低いかもしれませんが、能力、精神力、性格も佐々木さんほどは備わっていないので、感じる大変さは近いかもしれません。」
佐々木さんの今までの人生の中で家族、仕事、周りにいる人々に対する愛情溢れる情熱が肌で感じるように感動されます。
人生観が変わるぐらい、ぜひ一読する価値があると思います。
<共感しました!>
佐々木さんの講演会の記事にあったプロフィールが気になり、拝読させていただきました。
私は両親と同居しており、父は3年前の交通事故が原因で、介護が必要になり、母とがんばっています。
仕事はとってもやりがいのあるものでしたが、時間的に家族へ重きをおかなくてはならず、昔のようには働けないなぁと、もうほとんど諦めていました。
そんな矢先、この本に出会い、とても感動いたしました。
佐々木さんのような方がいて、まだまだやれるんだと勇気付けられました。
世の中の家族の介護でがんばっていらっしゃる方々にぜひ読んでいただきたい一冊です。
ご紹介はしませんでしたが、料理を効率良くする方法、家族だけで抱え込まない方法、息子、娘、妻の手記も入っていて、その場にいるかのようなドキドキと読み応えがあります。
ベストセラーになったのもうなずけますね!
本書で皆さんの心が軽くなることをお祈りして本日は終了とさせていただきます。
本日もありがとうございました!
佐々木 常夫(ささき つねお)
(画像引用元:佐々木常夫 オフィシャルWEBサイト)
1994年秋田市生まれ。6歳で父を亡くし、4人兄弟の次男として母の手ひとつで育つ。
1969年東京大学経済学部卒業、同年東レ入社。
自閉症の長男に続き、年次の次男、長女が誕生し、結婚して3年で3児の父になる。
妻は、肝臓病がもとで入退院をくり返すうち、うつ病を併発し、何度か自殺未遂をする。
すべての育児、家事、看病をこなす過酷な日々の中でも、仕事への情熱は衰えず、破綻会社の再建や様々な事業改革に取り組み、2001年、東レ同期トップで取締役となり、2003年より東レ経営研究所社長に就任。
抜きんでたタイムマネジメントにも定評があり、
「働く君に贈る25の言葉」
「実践 7つの習慣」
はいずれもベストセラーとなっている。
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