【うつ病の問診】双極性障害と境界性パーソナリティ障害。支援者としての心構えと対処法
目次
強烈な誹謗中傷
こんにちは、青年A (@seinen1234) です。
今回も、精神科の先生との問診ストーリーです。
(【問診】うつ、顎関節症の問診記録)
よろしくお願いします。
うつ病の問診
青年A
自分的にしんどいことがあってメモを持ってきたんですけど、就労支援の利用者で1年ぐらい見ている人がいるんですけど、その方は双極性ⅱ型障害でB型利用者でして。
最初の頃は利用者も少なく雑談できたり仕事中の会話も多かったんですけど、徐々に利用者が増えたり僕の仕事も増えて色んな拠点に移動して動き回ったりしてる立場なんですね。
そんな中、僕との会話が減って距離感を覚えてそっけなく感じ始めたと。
以前は休み時間に他愛もない会話もできたんだけど、今はほとんどなくて冷たく感じると。
そういうことを言い始めたりとか、以前に自分は周りの状況がかなり気になってしまうからイヤホンつけて音楽聴きながら仕事してもええかと言われて了承はしたんですけど、支援員からの声かけに気づけるように両耳ではなく片耳にしてくださいと言ったことが苛ついたらしくて。
俺は周りが気になるからイヤホンするのになんで片耳やねん、とか。
かなり細かいことを覚えていてものすごく細かい僕の誹謗中傷を管理者に浴びせ続けるんです。昨日のことなんですけど。
それで薬も変わってしまって、こんなけしんどい思いをしてるんはあいつのせいや、あいつを潰してやる、と躁状態が高まってるんです。
自分のことは改めようとはせずに僕の批判ばっかりしてるわけです。
俺が被害妄想じゃないってことを先に伝えておく、って先に管理者に言ったりしてて。
そういう誹謗中傷をかなり受けてて、あることないこと言われてふとした時に思い出されてしんどいし腹が立つ状況です。
先生も色んな双極性障害の方の対応をされてると思いますけど、わりとよくある話でしょうか?
先生
そうですね。
ひょっとすると双極性Ⅱ型障害の背景にあるのは幼少時のトラウマ体験もあるのかもしれません。
その場合は単純な双極性ではなく境界性パーソナリティ障害の特徴を併せ持ってるかもしれません。
その人のことは知らないけど、結局は「見捨てられ恐怖」がきっかけで行動化してるんです。
「理想化とこき下ろし」というやつですわ。
理想化した人が自分の面倒を見てくれないと攻撃的になるという。
両極端なんです。
すごい良い関係ができやすい反面、一旦見捨てられたらものすごいパニックになるんです。
青年A
それに近いですわ。
最初の頃はすごく仲良くしてて、お互い野球っていう共通の趣味があって意気投合してたんです。
ただスキンヘッドの強面で、自分から懐くような感じの人ではないですよ。
ただ、お父さんがものすごく高圧的な人で、昔はお父さんの顔色を見ながら生活しないと行けなかったらしいです。
だから今でも周りに敏感です。
先生のおっしゃる通り、幼少期のトラウマが少なからずあると思います。
先生
幼少期のトラウマがあって、それが感情障害の原因になってるわけです。
感情の調節がうまくいかなくなるんです。子どもの頃からそういう育ちをしてるとね。
それプラス境界性パーソナリティ障害の特徴の見捨てられ恐怖を強く持つようになるので、大人になってからも対人面で大きな悪影響を引き起こすんです。
そのことが自己像にも影響していて否定的な自己イメージを持つという悪循環に陥るわけです。
そう理解しはったらいいと思います。
双極性Ⅱ型障害の人って、境界性パーソナリティ障害の診断基準を満たす人は多いですよ。
双極Ⅱ型って言われるということは境界性パーソナリティ障害ってことですよ。
青年A
そうなんですね。
先生
僕らはほぼイコールで捉えています。あくまで一般論ではありますけど。
青年A
自分を非難されていい気持ちになる人はいないと思います。
僕自身はどういう心持ちや対処をすればいいですか?
先生
支援者として関わるのではあれば、その人の気持ちは認めてあげるですよね。
攻撃されてる当事者なんで難しいとは思いますが、その人の育ちとかを考えたら、今まで関係が良好だったのに急に冷たくされたと感じてパニックになるのは無理もないなと。
病気の症状なんやと。
攻撃されて気悪いけど病気の性質として仕方ないなと。
多分100感情あって言ってるの10ぐらいなんですよ。
相当苦しいんやろなと。そこを共感してあげるわけです。
元々の育ちの問題があって病気も発症してこうなってるんやなと。
自分も境界性パーソナリティ障害について勉強してみようかなとか。
そういう風に接したら全然違いますよ。
青年A
こっちも同じ土俵に立つと言い合いになってとんでもないことになりますよね。
先生
そうですね、それは意味ないです。
支援者として接すると決めたんやったらちゃんと相手の病気を知ること。
その上で対処法を考えることです。
青年A
まずは相手の気持ちを認めてあげることですね。
先生
そうです。
認証、承認、バリデーションといわれるものです。
相手がどんな行動をしようと、それはその人なりに筋の通ったものになってるということです。
妄想ではあるんですが。
今後は距離のとり方に気をつけるといいです。
自分に余裕があるから近づいたりとか余裕がないから一気に離れたりするとまた見捨てられるんじゃないか?と怖くなるので。
とにかく一定の距離感で接するわけです。
例えば1日10分話すると決めたらどんだけ忙しくても10分は話すわけです。
だけど10分て決めたら30分話せる日でも10分しか話さないようにします。
これを「限界設定」と言います。
時間で区切るもので内容で区切ったらいけません。
その限界は支援員が決めてください。
それを提案してください。
僕に言いはったことはもっともやと思うわ、と。
以前は時間を取れたけど申し訳なかったと言えばよろしいやん。
青年A
分かりました。
この人は自分は絶対間違ってないと思い込んでるんです。
今後も僕だけじゃなくて色んな人に攻撃的になる可能性が十分あると思うんです。
今後再発を防止していくためには自分自身の考えも一旦改める癖づけが必要なんですよということは言わないほうがいいですか?
先生
今は無理ですね。
今は頭に入らないです。
白黒思考の極端な状況に陥ってるわけです。
自分は被害者、相手は加害者やと。
それに対してもバリデーションするわけです。
その育ちからしたら無理もないなと。
本来一番守ってもらわなあかん人に守ってもらえなかったわけやから。
長期的には白黒の中間…正しいも間違いもないのがほとんどなので。
その曖昧さを認められるように持っていけたらいいねといずれ話せたらいいでしょう。
青年A
感情が落ち着いてる時にですかね?
先生
そうです。
こっちの立場も認めてくれよ、と今言っても入らないので。
青年A
それ言いたくなるんですけどね。。
先生
気持ちはわかりますが、それは相手の白黒思考に巻き込まれているわけです。
いや自分のが正しいと主張してしまっているわけですから。
自分から率先して相手の立場や病気を理解して歩み寄ること。
青年A
さすが先生ですよね。
短い会話で一瞬で本質を見抜いてアドバイスをくださるので。
本当に救われます、ありがとうございます。
先生
支援者としてはキツイと思いますけどね。
カウンセラーでもようミスるんです。
相手の白黒思考に巻き込まれて自分の正当性を主張し出すと解決しません。
青年A
やりがちですわ。
先生
はまらんようにね。
結局、障害者が傷ついて色んな病院を放浪してウチに来たときにはエライ状態になってるわけです。
最初からめっちゃめちゃ構えてるわけです。
そこほぐすの大変なわけです。
多分、今回の彼もあっちこっちでやってるわけなんで。
青年A
なるほど。
仕事でも最高で1年しか続いていないわけで。
先生
でもなんとか良くなろうと思ってその方来てるんですよね?
そこは認めてあげてください。
青年A
分かりました。
先生もいっぱい批判されました?
先生
めちゃくちゃやられましたよ。笑
夜道歩かれへんぐらいです。
車運転しててビール瓶投げられたこともありますから。待ち伏せされてて。
経験したからこそ、あっ…こういうことなんやなって分かります。
全然恨んでないもん彼らを。
青年A
僕も先生から全ては経験したもの勝ちって聞いていますし、マインドフルネスや破局思考に入らないとも意識してるので、以前よりかは心はましです。
先生
ここは落ち着いて。
これはご自分が成長する機会なんで。
そういう人に対してうまくバリデーションできたら大概うまくいきますわ。
非常に重要な経験です。
青年A
自分の成長にとっても必要なんですね。
先生
必要です。
青年A
救われました。
ありがとうございました。
おわりに
お読みいただき、ありがとうございました。